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■観光業界人インタビュー 第2526号≪2009年8月8日(土)発行≫掲載
キャリア系独自の役目意識
ターゲット合わせ商品を
JALツアーズ
社長
山崎寛氏
──前職はJALインターナショナルの札幌支店長でいらした。
「3年間の北海道勤務では北海道観光振興機構の副会長を務めるなど、観光にもかかわった。その中で地方経済がかなり苦戦、疲弊していることを強く感じた」
「今年はなかなか夏場が伸びていない。エコポイント政策でボーナス払いの影響は来年の夏まで及ぶだろうし、インフルエンザの流行などの不安要素もある。そういった中で購買層の目を観光に向け、地方経済に少しでも役に立つような取り組みを進めるには、北海道で経験したものを生かせるのではと思っている。当社も年間270万人ほどの送客をするなかで、それぞれの地域に貢献していかなければならないという思いは強い。そういう意味でも今の仕事には非常にやりがいを感じている」
──今年の展望は。
「昨年はTDR25周年など総需要を大きくする要因があったほか、当社の統合5周年記念関連の取り組みなどで、送客数は前年比約5%まで伸びた。今年は社会情勢などからあまり期待できないので、前年と同じ数字により近づけたいと考えている」
「商品については、昨年はJALステージ5周年の『周年記念』という切り口を中心に展開してきたが、今年は昨年の商品内容をさらに充実させたい。昨年度から展開している学生を中心とした若者向け商品『学遊』や高齢者の方への『ハートフルサービス』などについて、アンケート調査の結果をフィードバックしてブラッシュアップしていくとともに、『JAL旬感旅行』のような企画性の高い商品も大事にしていきたい」
「またJAL本体が進めるプレミアム戦略は『夫婦や家族で行くならば高品質なもので、安心して行きたい』というお客さまニーズへの対応の1つであり、旅行業でも同じと見ている。そういった意味でJALの『クラスJ』は武器の1つとなる」
「ただし当社が独占するのではなく、その良さや求められているニーズの有無を他の旅行会社にも理解してもらいながら総販を増やしていくことが求められる。これはキャリアパッケージホールセラーの1つの役目だと思っている」
──半期が終わった段階での手ごたえは。
「方面としては、北海道、中国四国は伸びており、東北も堅調だが、4〜6月のインフルエンザの流行による落ち込みをカバーしきれていない。このところようやく動きが出てきたので7、8月の伸びを期待している。あとは9月の連休以外の『すそ野』がどれほどついてくるか。それで前年とほぼ同じところまで行けるかというところだ」
──下期商品の方針は。
「生命線は数の大きい北海道、沖縄。あとはスキー商品だ。また観光活性化のためにキャンペーンを展開している地域との相乗りなどで底上げしていく。また好評だった『クラシックジャンボ退役ツアー』のような商品は、航空会社ならではのもの、グループの一体感を育む企画なので、やりたいという社員の意欲があれば尊重し、自然な形でやっていきたい」
──ダイナミックパッケージの実績は。
「倍々ゲームで増えてきている。おととしが3万人、昨年が15万人の利用があり、旅慣れた人をターゲットにしたビジネスとして比較購買の1つのツールとなりつつあるようだ。今年は目標を25万人に設定している。お客さまの求めるものを探りながら、もう一歩進んだ商品に進化させたい。また購入時の安心感も重要だ。家族旅行はじめ多くの旅行において、最後はカウンターで確認したいという声がある。既存の販売チャネルとどう共存していくかが1つの課題だ」
──旅館・ホテルなど関係機関へのメッセージを。
「お客さまの旅行需要を喚起することがJALグループ全体としてのテーマだ。しかしそのための商品は施設のご協力なくしては造れない」
「需要が伸びずデスティネーション競争が必然的に起こってくる中で、年齢などのターゲットに合わせたPRや商品造成をしていく必要がある。そのためにも造成の中で付加価値となりうるものや、地域活性化のために取り組んでいるものの情報をいち早く教えていただければ、一緒に知恵を絞ることができる。情報発信はわれわれ航空会社、パッケージホールセラーだけではできない。他業種との戦いも含めて一緒に取り組んでいきたい」
【聞き手・小林茉莉】
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