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■観光業界人インタビュー 第2558号≪2010年4月17日(土)発行≫掲載
「地旅博覧会」の開催で
地域イベントに集中送客
全旅 社長
池田孝昭氏
──着地型旅行を「地旅」のブランド名で定着化させようと取り組んでいる。
「航空券や宿泊券だけの単品ビジネスは、インターネット上での取引になってしまい、ANTA(全国旅行業協会)会員の中小旅行会社の手から徐々に離れている。今後、我々は何で勝負するのかというと、それは顎、足、枕をセットにした観光旅行だ。ビジネスでの単純な出張旅行は別にして、行ったついでに何かをしようとすれば、我々の着地型旅行商品を使うはずだ。はっきり言って、着地型旅行は発地型旅行のようにはもうからない。だが、我々の環境は2年後、3年後、さらに厳しくなる。だから今、収益の高い発地型旅行を大事にしながら、着地型旅行に手を付けておかなければならない」
──徐々に取り組みの動きは出てきているが、まだこれからと言えそうだ。
「着地型の施策を地域の皆さんと一体になって進めていけば、その地域にお客さんを送客することができ、地域全体が潤う。地域の経済力がアップすると、発地型の旅行需要も生まれてくる。その時、地域の皆さんは誰に旅行を頼むのか。それは、地域の皆さんと着地型旅行を一生懸命に造成するANTA会員だ。同じANTA会員でも、常日頃付き合いのある会員となる。着と発は連動しているということをANTA会員は理解してほしい。だから今、着地型旅行づくりで地域の皆さんとのパイプを太くすることが重要だ」
「今年3月、旅行業の将来を真剣に考えている人、136人に『地旅推進メンバー』になってもらった。これからはその人たちが中心になり、地域の着地型旅行商品を積極的に作っていく。着地型旅行の構想を発表して11年目になるから、そろそろ実を取りたい」
──着地型旅行づくりの機運を高めようと、昨年、優れた企画を表彰する「地旅大賞」も創設した。
「旧態依然のやり方は、商品造成から販売、集客までを自分で行う。一方、着地型旅行は、作るのに徹し、売る人は販売に徹する。だが、昨年1年間、第1回の地旅大賞に選ばれた企画の実証実験をしたところ、造成した会員が直接売ってしまった。他の会員に販売を頼んだ場合でも、自分で値付けをしてしまった。着地の会員が原価に足を付け、利益を載せて値段を決めるという手法は、旧態依然のやり方であって、誰も売らない。そのようなことで集客が良くなかった。第2回ではそのことをきちんと説明しているので、きっとうまくいくだろう。販売をどの会員に頼んだらいいか分からない人には、全旅が、売ってくれる人の紹介もしている」
──さらに地域と共催する集中送客キャンペーン「地旅博覧会」も今年度から始める。
「各地域で切磋琢磨して、すばらしいイベントが開催されている。ところが、業界行政が莫大な予算を使っているにもかかわらず、地元や周辺地域の住民しか参加しないイベントが多々ある。ただテレビ、新聞、街頭で宣伝するだけで、集客する手だてが分かっていないからだ。これはもったいない。そこで地域のイベントにANTA会員が介在して、集中送客しようというのが地旅博覧会だ。我々には47の支部がある。まずその県の隣接を核として、全国からイベントに送客する。パンフレットや会報『全旅便り』、ANTAネットで宣伝して、ANTA会員に送客を呼び掛けていく」
「来年3月まではプレオープンだ。各地域から数カ所が手を上げているが、テストケースなので5カ所にしぼって、どれだけの送客ができるのかを検証していく。来年4月から本格的に始め、全国各地で開催されるようにしたい」
──地旅の普及によって地域が活性化する。
「お客さまが増えてくれば、地域でのANTA会員の信用も増していく。地域の人々から最初は、特段何も意識しなくても、半年、1年後には『あの人がいないとダメだ』となる。5700のANTA会員が地域のリーダーになる」
【聞き手・板津昌義】
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