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観光業界人インタビュー 第2621号≪2011年8月20日(土)発行≫掲載
登録施設1000軒の復活へ
メリットの情報発信強化


全旅連シルバースター 部会長
多田 計介氏


 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)で、高齢者、障害者など、すべての人に優しい宿「シルバースター登録施設」の普及を目指すシルバースター部会は6月29日の総代会で、新しい部会長に多田計介氏(石川県和倉温泉・ゆけむりの宿美湾荘社長)を選出した。新部会長に就任の抱負と今後の部会運営を聞いた。

──まず、就任が決まった時の心境をうかがいたい。
 「今まで副部会長兼経営研究委員長という立場で、当時の部会長の野澤(幸司)さんの下で、指示を受けながら活動してきた。今回、順番で役職を仰せつかったのかな、という感じだ。自分なりにできることもあると思うし、活動を通して責任を全うしていきたい。アゲインストの時代だが、私は今までもアゲインストの時に転機がやってきている。これは宿命なのかもしれない(笑い)」

──就任あいさつでは、シルバースター登録施設の1千軒復活を第1の目標に掲げていたが。
 「今は施設の廃業などで900軒を割り込み、約890軒だ。これを何とか早く1千軒に復活させたい」

 「私も近所の旅館を勧誘して、シルバースターの仲間に入れたこともあったが、そういう一本釣りではなく、組織的にアプローチして数の拡大を図らねばならない。そうでなければ大きく拡大しないだろう」

──具体的にどうするのか。
 「全旅連という組織は、都道府県ごとの組合の中央連合体であるから、各旅館・ホテルとのダイレクトなパイプがない。アプローチする場合は都道府県の旅館ホテル組合を通して、というパターンが多い。その点を、シルバースター会員組織を通じて、ダイレクトな情報提供をできるようフォローしたい。登録施設の各県の代表である地区委員の皆さんと連携をとり、増強を図る」

 「前任の野澤さんが理事長を務める新潟県の旅館ホテル組合は非常に協力的で、新潟の登録施設は着実に増えている。しかし、まだ、あまりお入りになっていない県もある。我々が組織のメリットを伝えきれていないのが原因かもしれないので、地区委員の方々と連携をとりながら、しっかりとした情報伝達を行っていきたい。必要があれば私が直接うかがって勧誘をしたい」

──1千軒の復活はいつまでに。
 「アドバルーンを上げるのは簡単だが、いきなり1千軒というのは難しいので、まずは950軒を目標にする。いつまでに達成するのかについて、近く役員の皆さんと話して、コンセンサスを得たいと思う。着実に、そしてサッカーのなでしこジャパンのように粘り強く進めていきたい」

──ほかに力を入れていくことは。
 「部会の経営研究委員会で、先日の総代会の講演会でもテーマになった節電対策を研究していきたいと思う。これから委員長の桜井(唱弘)さんと、委員会で話す中身について打ち合わせを行う」

──シルバースターの登録制度を一般に周知するキャンペーンを昨年度まで3回行ったが、今後の予定は。
 「第4弾も行う予定で、近々内容を決定する。第3回は還暦など記念日に宿に泊まった時の写真を募集するフォトコンテストだったが、今回は活字で表現していただくような内容を考えている。また以前作った登録施設の紹介本を再度作ってほしいという要望も出ており、今、宿題としてお預かりしている」

──全旅連の組合員旅館・ホテルは全国に約1万7千軒。そのうち約1万6千軒がシルバースターの未登録施設だ。これら旅館・ホテルにメッセージを。
 「シルバースター登録制度は平成5年、シルバースター部会は平成10年にスタートした歴史あるものだ。これだけ長きにわたり活動しているのは、そこに意義があるからだと思う。『人に優しい』ということは、宿泊産業にとって最も大事な部分。必要不可欠なものだ。この部分を一所懸命磨き上げる集団が我々シルバースター部会だ。これから旅館・ホテル業界がさらに発展していくためにも、登録施設の拡大を図っていかねばならない。我々の努力不足で至らぬ点もあると思うが、ぜひ制度に興味を持って、我々シルバースターの仲間になっていただきたい」

【ただ・けいすけ】

◇シルバースター登録制度
 高齢者や障害者など、誰もが利用しやすい設備やサービスを備えた宿を申請により登録する制度。「客室内浴室・トイレには必要に応じ、手すり等が設置されていること」「従業員に対し高齢者の宿泊に接する際の配慮等の教育を行うこと」などの項目をクリアした宿を審査の上、登録とする。制度には厚生労働省が協力。登録施設はインターネットなどでの施設のPR事業への参画や、経営に関する有益情報を得られるなどのメリットがある。

【聞き手・森田淳】


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