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観光業界人インタビュー 第2698号≪2013年4月6日(土)発行≫掲載
手数料7%で「スマ宿」加速
H.I.S.国内ホテルWEBセールスグループゼネラルマネージャー
渡部 浩之氏
──国内宿泊予約サイト「スマ宿」の開設から1年だ。
「12年3月にスマ宿を開設。同時に国内全272店舗で国内旅行販売を始めた」
──HISといえば一般的には海外旅行のイメージが定着している。国内旅行に踏み込んだきかっけは何か。
「HISグループには現在、国内旅行中心のオリオンツアー、熊本県を中心に地域に密着した路線バス事業、高速バス事業、国内・海外旅行事業、ホテル・レストラン事業を展開する九州産業交通ホールディングス、そしてハウステンボスがある。そういう意味では既に国内旅行には深くコミットしているし、相乗効果も見込める。また弊社の海外旅行顧客を国内旅行に誘導することで、旅行業としての成長もできる」
──登録施設数約8千軒でのスタートだった。新設サイトとしては破格の多さだ。
「現在は1万軒を超えている。ただ、実際に稼働しているのは6千軒程度。スマ宿にいかに宿泊プランを登録していただけるかが課題となっている。そのためには販売実績を着実に積み上げていかなければならないと思っている」
──宿が負担するシステム利用料、つまり手数料率が宿泊代金の7%と低い。
「後発サイトなので、低率に設定した。7%のうち2%はHISポイントとして利用者に還元している。リアルエージェントが15%、大手宿泊予約サイトが8〜10%なので、競争力はあるはずだ」
──ローソンなどで使える共通ポイント「ポンタポイント」も付与される。
「ポンタポイントの原資はHISで負担している。またオンラインカード決済の場合はHISポイントの付与率を1%上乗せして3%としている。上乗せ分は当社負担だ」
──営業マンも国内旅行を販売するのか。
「法人営業セクションでは、従来から国内旅行も当然扱っている。1万社以上ある取引先企業に対して、スマ宿のリーフレットを配布し、出張やプライベートな旅行での利用を呼びかけている」
──ハウステンボスは訪日外国人観光客にも人気が高い。スマ宿でインバウンドを取り込む時の武器になるのではないか。
「当社は海外101都市に138拠点を持っている。日本人海外旅行客を現地でお世話するために30年間かけて築き上げてきた海外ネットワークだが、現在では各拠点から日本への送客、つまりインバウンドセールス活動も行っている。スマ宿では、この各海外拠点が持つ外国人顧客に対するアプローチも今後積極的に行っていきたい」
「日本の宿泊予約サイトが、ワールドワイドで展開しているエクスペディア、アゴダ、ブッキングドットコムなどの大手海外宿泊予約サイトと伍して行く必要がある。ただ、当社には海外拠点があり、リアルな営業活動を行っている。生きた日本の観光情報、日本旅館の情報提供ができる。そこを突破口にしてスマ宿の多言語化を今後進めていきたい」
──日本の大手宿泊サイトではダイナミックパッケージが伸びている。
「航空券と宿泊がセットになったプランの販売や、旅行を計画して友人と共有できる機能の付加など、ユーザーメリットのあるサイト展開を進めていく」
【わたなべ・ひろゆき】
94年HIS入社、法人営業課に配属。01年にスポーツ・イベントセクションを設立。07年にHISを退社。10年に復帰し、スマ宿を立ち上げた。41歳。
【聞き手・江口英一】
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