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観光業界人インタビュー 第2707号≪2013年6月15日(土)発行≫掲載
「たびフォトサーチ」を
業界の“共有”ツールに
JMC社長
今泉 弘幸氏
──社名だけではどんな事業をしているJTB系列の会社か分かりにくい。
「販売店に必要な旅行情報の集約、発信、管理など、根幹の業務のコスト効率を高めるために設立された会社だ。グループ各社のイントラネットの制作、運用のお手伝いもしている。『JMC』の社名は思い浮かばなくても、JTBで旅行業務に携わっている人は毎日我々が作った情報やデータに触れて、それをお客さまに提供している」
──ここ数年で事業分野が広がっている。
「2009年に弁当販売のJTBフーズと事業統合した。販売個所では大型団体の弁当の手配にとても手間がかかる。特に修学旅行は、細かい打ち合わせが必要なうえ、同じことを複数の業者に連絡しなければならない。我々に頼んでおけば連絡が1回で済む」
──昨年6月にはストックフォト事業のJTBフォトと一緒になった。
「契約カメラマン約千人が撮った観光地を中心とした質の高い写真をストックし、それをパンフレットやポスター、ウェブで使用してもらおうとグループ会社などに貸し出している。最近は素人の撮った写真が自由に使える共有サイトもある。画像もピンからキリまである中で写真の差別化を図っていくのが課題だ」
──社長に就任したのは4月。抱負は。
「お客さまはJTBグループ、あるいはグループと何らかの付き合いがあるところがほとんど。みんな知り合いだから、一つ一つの仕事をきちっとやると、『その仕事ならJMCに頼んでみたら』ということが波及しやすい。そういう流れを目指したい。一方、受け身ではなく、お客さまの販売拡大や業務効率化のために何ができるかを主体的に考え、提案する営業スタイルに変えていく」
──旅館・ホテルなどに向けた事業は。
「JTBグループが標榜し、確立しようとしている『交流文化事業』の一翼を担いたい。そのためにも旅館・ホテルや観光協会の役に立ついろいろなツールを提供していく。一つは、宿泊施設や観光協会から画像を一括して預かり、それを必要とする制作会社や旅行会社が取り出せる『たびフォトサーチ』というツール。今年度から、エースのパンフレット用画像をこのデータベースに格納し、JTBのインフラツールとして利用することとなった。この仕組みを旅館・ホテルにご利用いただくため、旅行事業本部やJTB協定旅館ホテル連盟の協力を得て、全国を営業している」
──たびフォトサーチは業務効率化につながる。
「例えば、旅行パンフレットを作り変えるシーズンになると、宿泊施設にはJTBの各商品事業部だけでなく各社から『こういう写真がないか』と同じようなリクエストが寄せられる。その都度、メールで送るなどの手間をかけていた。たびフォトサーチにストックをしておけば、問い合わせがあった時にそこから必要な画像データを使ってもらうことができる」
「写真一つ一つに利用範囲などの制限をかけられるのでセキュリティも万全だ。使用許諾の問題も必要なチェックを入れるだけで済むから非常に労力の軽減になる」
──現在の加盟軒数は。
「およそ3千施設。JTBの全契約施設の半分ぐらいだ」
──全国の観光協会にも参画を呼び掛けている。
「観光協会は独自のストックフォトを持っているところがほとんど。だが、利用者側はそれぞれの地域で検索をして探しにいかなければならず、手間がかかる。たびフォトサーチを使えば、北から南まで全国各地のきれいな風景写真がそろっていて、パンフレットやポスターに使える写真が手に入る。『一元化』は利用者にとって理想的だ」
──観光業界に向けた新たな取り組みはあるか。
「JTBでは各旅館・ホテルから、どういうタイプの部屋が何部屋あるといった、施設の基本情報をもらっている。旅館・ホテルは契約更改のたびに各旅行会社に同じような紙を提供している。これはけっこう手間だ。そこで我々に1回情報を提供してくれれば、必要な旅行会社がその情報を使える、といったプラットフォーム的な仕組みの構築を目指したい」
「日本の旅館の情報をプラットフォーム化して、それを海外のエージェントへ提供することにも取り組みたい。今後、外国人旅行者が増えていくなかで、外国人客の販売を伸ばすためには絶対に必要なことだ」
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