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観光業界人インタビュー 第2724号≪2013年10月19日(土)発行≫掲載
KNTの営業力を生かし
自治体との連携増目指す

クラブツーリズム社長
小山 佳延氏


──社長になってまず手掛けたことは。
 「就任早々、1カ月半かけて全国35支店を回り、支店幹部に私の考えを話した。当社は若い社員が多く、現場で元気よく仕事をしていることが分かったのでまんざらでもないなと(笑)。就任あいさつで社員に言った会社の方向性は『お客さまに必要とされる会社になろう』『社員が働きがいの持てる会社にしよう』。必要とされない会社は代わり(の会社)がある。当社しかないものを提供することで、当社がないと旅行に行くことができずに困るという存在にならないといけない。『働きがいの持てる会社』は、楽しく仕事をしてモチベーションを持つことが新しい商品を造ることにつながる」

──近畿日本ツーリスト(KNT)とのシナジーは。
 「当社はメディア販売、KNT個人は店舗。(店舗での)コンサルティングの重要性は大きい。多くの選択肢の中から選ぶには、ネット完結とプロの話を聞いて予約という二分化の方向になる。当社の商品もKNT個人の店舗で販売してもらっている」

 「KNT団体とは地域誘客事業でのシナジーを目指している。当社は年間116企画のイベントをやって18万人の集客実績がある。これとKNTの全国支店網の営業力を生かし、自治体と連携して事業をやりたい。自治体には『うちとKNTは地域が喜ぶような提案ができますよ』と言いたい。現状では全ての自治体と組んでいるわけではない。当社は企画力と集客力があるので、全国の自治体の方と組んで地元にお金を落とす仕組みを作っていけたらと思っている。KNTと当社なら他社以上のことはできる」

──岡本体制との違いは。
 「方向性は全く変わらない。そうは言っても、ネットの出現でマーケット環境は大きく変わったので、今までの成功体験に縛られたらそれ以上の成長はない。環境が激変する中、今の状態がベストだとは思わず、常に改革・変化を考えながらやっていきたい」

──旅行業界の今後をどう見ているか。
 「『旅行マーケット』と『旅行会社が扱うマーケット』は違っていると思う。旅行マーケット全体の中の旅行会社が取り扱える領域は意外と少ない。ホテルの宿泊なども楽天トラベル、じゃらんなど、従来の旅行会社ではないところがシェアを拡大しており、様変わりした。当社は、メディア販売で時代の最先端を行っていた。しかし、ネットの出現で、これからはまた新たな一歩を踏み出さないとだめだ。変化に対応できる会社にしないと生き残れない。今の若い人は新聞を読まずにネットでニュースを見る。その人たちが年齢を重ねた時に紙に戻るかと言えばそうではないだろう。5年後10年後を見据えた取り組みをしていかなければならない」

 「単純に商品が安いだけだと会社は疲弊して利益が残らない。価格を上回る価値をお客さまに提供できるか。生き残れる会社は尖ったものがある。強みをもっていない旅行会社は淘汰される可能性がある。特長はどこか、当社は安さではなく内容価値を高めることに重点を置き他社との差別化を図っていく」

──御社の今後の事業方針は。
 「65歳以上は増えているが、(シニア層に強い)当社にバラ色の未来があるかというとそうではない。競争相手は増えるし『(75歳以上の)超シニア』も増える。成長性を見るならインバウンドに力を入れていかなければならない。お互いの強みを生かしながら、今後はKNT—CТホールディングスの中で、全体としてメリットが出るように動いていきたい」

──読者に一言お願いしたい。
 「当社はツアーアンケートを実施している。ツアーや旅館・ホテルに対する評価を数値化し、今年からフィードバックしている。お客さまに品質向上、他社との差別化を実感してほしいので、パートナーズの皆さまと一緒に質を上げる努力をしたい。アンケートでは、ハードが素晴らしくてもソフトが足りないと評価が低く、逆にハードが足りなく(古く)ても、ソフトが良いと評価は高い。ソフト、つまりおもてなしが足りないと評価が低いという結果が出ている。日本人の原点に立ったお客さまへの対応が重要だし、これからインバウンドが増えていく中で、外国人への強みとなるおもてなしについて、旅館・ホテルは考えてほしい」

【こやま・よしのぶ】

【聞き手・大城登志和】


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