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観光業界人インタビュー 第2744号≪2014年3月29日(土)発行≫掲載
宿泊予約サイトに新規参入
手数料無料で“予約革命”

ヤフー・ショッピングカンパニー予約事業本部長
齋藤 克也氏


──宿泊予約サイト参入の経緯は。
 「昨年10月にヤフージャパンとして『eコマース革命』を宣言。ショッピングの出店料や手数料を無料化した。インターネットはインフラであるという観点からの判断だ。その結果、年末までに出店希望者が約9万件に達した。第1次産業など季節性の高い業種などには特に歓迎された」

 「宿泊予約サイトへの参入はその延長線上にある。インターネットショッピングでは出店者が負担する販売手数料は平均で4〜5%程度と言われているが、宿泊予約サイトの場合はその倍だ。雑誌系・海外系などでは計算上30%程度に達している場合もある。宿泊予約についても旅館・ホテルが負担する手数料を無料化することで、観光業界を盛り上げたい、宿泊業界をさらに活性化したいと私たちは考えた。そこで、2月26日に『予約革命』を宣言。手数料無料での宿泊予約サイト参入を発表した」

──手数料を無料にして、どこで稼ぐのか。
 「ヤフージャパンというポータルサイトの広告収入で運営する。ヤフーにはそのノウハウがある」

──齋藤さんは楽天トラベルの常務からヤフージャパンに移られた。
 「昨年8月にショッピングカンパニーのエグゼクティブプランナーとしてヤフーに入社。10月に同カンパニー内に予約事業本部ができ、予約事業本部長を拝命した。トラベルサービスとグルメサービスの両方を担当している」

──現在の宿泊予約サイト業界は、楽天トラベル、じゃらんnetの2強と一休.com、JTB(るるぶトラベル)で流通額(取扱額)の大半を占める。膨大なサイト訪問者数を持つヤフージャパンの参入により、宿泊予約サイト業界の勢力図に今後変化が生じる可能性がある。また手数料無料化という“ルールチェンジ”が、既存宿泊サイトに対する手数料値下げ圧力になることを期待する旅館・ホテル経営者も多い。
 「私たちの参入で、今まで旅をしなかった人たちが、宿泊旅行をするきっかけが広がればよいと思う」

──サイト開設は。
 「今夏を予定している」

──間に合うのか。
 「リードタイムから考えるとゴールデンウイークが終わると夏の予約が始まる。また宿泊サイトでは直前予約も多い。宿泊施設が使う管理画面などシステム面の準備作業を現在急ピッチで進めている。参入を発表した2月26日に宿泊施設からの契約申し込みを受け付ける専用ウェブページ(http://bizpromo.travel.yahoo.co.jp/dhotel)も開設。旅館・ホテルとの直接契約は順調に進んでいる」

──契約施設総数の目標は。
 「日本一の3万軒を目指している」

──いつごろまでに達成する計画か。
 「さすがに今そこまでは宣言できない(笑)」

──宿泊施設担当の営業部隊も編成するのか。
 「楽天トラベル、じゃらんnetと同じ規模の人員配置は難しいが、ある程度の人数は確保する。観光業界の仕組みが分かっていて、宿泊施設ときちんとコミュニケーションのとれるメンバーを今社内で集めている」

──ヤフートラベルは、サイト訪問者に旅行会社・宿泊サイトの宿泊商品を紹介し、成果報酬型の広告収入(アフィリエイト収入)を得るビジネスモデルとして運営してきた。取引先であるJTB(るるぶトラベル)、一休、ベストリザーブ、じゃらんnetとの関係は今後どうなるのか。
 「じゃらんnetとの契約は昨年4月に終了している。その他の3社との取引は今後も継続する。宿泊予約サイトの自社運営を始めるため、宿泊施設との直契約を進めているわけだが、旅行会社・契約宿泊サイトを介しての旅行・宿泊商品の販売は、並行して続ける」

──JAL、ANAと組んで国内ダイナミックパッケージ商品への参入も当然視野に入っているのか。
 「まだその段階ではない」

──世界中のヤフーを使ってのインバウンド誘客は。
 「ヤフージャパンの事業領域は、日本国内在住者に対するサービス提供に限られている。現状では難しい」

【さいとう・かつや】
04年8月、「旅の窓口」運営のマイトリップネット吸収合併に伴い楽天入社。楽天トラベル常務執行役員を経て、12年9月にクーマンを設立、社長に就任。13年8月、ヤフー入社。13年10月、現職のショッピングカンパニー予約事業本部長に就任。48歳。

【聞き手・江口英一】


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