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観光業界人インタビュー 第2766号≪2014年9月13日(土)発行≫掲載
連携し需要創造に挑戦
訪日事業は質量充実を

JTB 協定旅館ホテル連盟専務理事
池田 浩氏


──JTBのグループ本社執行役員・旅行事業本部副本部長から6月11日に専務理事に。就任して以降、各支部長の施設に赴いて直に声を聞いている。

 「6月から始め、11支部長を訪問した。7月中旬からは旅館・ホテルの繁忙期なので中断していたが、9月後半から本格的に開始する。年内には、すべての支部長を訪問したい」

──知識、経験、人柄すべて申し分ないが、今までの専務理事と比べるとかなり若返った。
 「貫禄がなくてすみません(笑)。知識が十分とは思っていないが、多少若いので、いろいろ違うこともできると思う。旅館・ホテルの状況は分かっているつもりだが、立場も変わったので、会員の皆さまにはぜひ遠慮なく、これまで以上に本音を言ってほしい」

──旅館・ホテルの現状をどうとらえている。
 「個別にはさまざまだが、全般的に言うと経営が厳しい。客室稼働率が十分でない。多少改善しつつあるが、単価が低い。一方でコストや原価は上がってきている。投資も必要だ。いろいろな法規制への対応の問題もある。最近は従業員の確保も課題だ。そういった旅館・ホテル業界の現状、課題を、今まで以上にJTBと共有していきたい」

──専務理事として注力していくことは。
 「旅ホ連活動の3本柱『宿泊増売』『人財育成』『組織の強化』を着実に推進していく。推進強化すべきことがある一方、見直した方が良いこともあるかもしれない。メリハリをつけて、本当に会員のためになることに注力したい」

 「今までJTBで宿泊政策を担当していたが、その政策の意味や内容が会員の皆さまに正確に伝わっていないと感じることがあった。より宿泊増売につながるように、JTBの政策を会員にしっかり伝えていきたい。逆に、旅館・ホテルの現状や意見、要望をJTB側に伝える。そして、旅ホ連に加盟しているメリットを一つでも多く作る。私の役割の3本柱はそれだ」

──会員数が4千軒を割って3900軒ぐらいになった。
 「倒産や営業権譲渡もあり、ここ数年、微減が続いている。加入してもメリットがないという理由で退会することだけはなくしたい」

──観光経済新聞社のアンケートでは旅館・ホテル経営者の大手旅行会社に対する要望の声は大きい。
 「『客室在庫の消化率が低い』『単価が安い』『手数料が高い』『いろいろ無理なことを言ってくる』『旅館の実態が分かっていない』といった諸々のことだと思う。JTBとしては、改善の努力もしていると理解しているが、努力不足やコミュニケーション不足もある。旅行事業本部の時に、親しい会員の方から、『数多く、高単価で、早期に、オフ期にも、販売してくれれば、何でもするよ』とよく言われた。JTBと旅ホ連会員のウイン&ウインを目指したい」

──ウイン&ウインの関係構築には何が重要か。
 「根本的には、国内旅行マーケット、宿泊マーケットが拡大すること。JTB旅ホ連の基本テーマは『活発な支部活動、元気な地域づくり』だ。『魅力ある地域づくり』『旅の楽しみ方の発信』に関しては、地域だけではできないことを、JTBの地域交流事業や商品企画と連携して、需要創造に挑戦していきたい」

 「拡大する訪日インバウンドでは、ウイン&ウインのためには、質量ともに充実した事業にしていくことが必要だ。団塊の世代が消費人口から外れてくる10年後以降は、残念ながら日本人マーケットは小さくなるが、そのマーケットをカバーする必要がある。観光立国という国策にも貢献できる」

 「アジアの旅行者が欧米やアジアの他国に行ってしまうか、日本を選んでくれるか、そういった競争になる。日本に来てくれた旅行者をリピーターにすることも重要だ。日本には『四季』があり、『温泉』『旅館』『和食』『おもてなしの心』という他の国々にない強みもある。都市観光に加えて、これらを知ってもらえれば競争に勝てると思う」

──そのほかウイン&ウインに必要なことは。
 「それぞれの施設の価値を発信し、適正な時期に、適正な価格でお客さまにマッチした商品を販売することも重要だ。施設の特性に合わせて、個人グループ、団体、教育旅行、MICE、インバウンドで、JTBの販売力、営業力、販売チャネルをうまく利用していきたい」

【いけだ・ひろし】

【聞き手・板津昌義】


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