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観光業界人インタビュー 第2774号≪2014年11月8日(土)発行≫掲載
9連合会で記念商品を
宿泊券1100億達成が使命

近旅連担当役員
斉藤 篤史氏


──旅連担当役員に就任し、1年経ちました。

 「会議などを通じていろいろ勉強させていただいた。2年目はさらに多くの会員施設を訪問し、情報交換を重ね、新たな国内旅行の戦略に生かしていきたいと思う。われわれの生命線は消費者が何を求めているか見極め、旅行のプロとしての情報収集と顧客にとって最適な提案をすることにある。その情報を会員の皆さまから頂き加工して、魅力的な旅行商品にしたり、団体であれば企画・提案の中に入れていく。関係機関との強い人脈は大切な財産であり、その意味でも旅連は弊社には欠かすことのできない重要なパートナーだと実感している」

 「会社側は宿泊券増売・送客で会員の期待に応えなければならない。特に宿泊券目標である1100億円の達成が使命だ。近旅連の強みは各支部の情報連絡員が精力的に活動していることであり、それが『みちしるべ』という商品を生んだ。着地型観光のはしりになっていると言っても過言ではない」

──会員の減少が気がかりです。
 「1998年当時は約3500軒あったが、現在は2553軒となった。減少の理由はさまざまだが、いま会員となっている施設さんをきっちりとフォローしていくしかない。施設さんの持つ特性、ターゲット層に合わせ、戦略を立てて送客する」

──来年は近ツー、近旅連とも60周年の節目を迎えます。
 「全国均一のイベント開催予定はないが、近旅連には9連合会があるため、それぞれの地域特性に合わせて、60周年記念商品をメイトやe宿と連携しながら造成、販売を計画している。60周年のロゴも作っており、60周年宿泊企画商品はこのロゴマークを入れて周知する」

──国内交流大コンベンションについては。
 「9月に3回目となるコンベンションを開催した。3連合会ずつやってきたので、これでひと巡りしたことになる。来年以降は地域密着の誘客活動ができるように、支部単位に落とし込み、新たな形で拡充していきたい。お客さまのことを一番知っているのは旅行エージェントであり、現場のことを一番知っているのは施設さんだ。コンベンションは営業、造成部門と施設さんの接点であり、ここで商談することでいい商品ができると確信している」

──ウィン・ウィンの関係になるには。
 「お互いの利益が出ないといい関係にはならない。私が営業現場で言い続けてきたことは『利益と信頼にこだわれ』ということ。労力に見合った利益を生み出しているか、クライアント・施設の皆さんに信頼されているか…。特に、施設の皆さんの信頼を得るにはきちんと送客することが何より大事だ。送客なくしてウィン・ウィンの関係はない。一方、施設側もお客さまに喜んでいただける、選んでいただける、また来ていただけるようにならなくてはいけない。旅館・ホテル単品を売るだけではなく、地域活性化のために地域全体を売っていく。施設さん、われわれ、そして『全国ひまわり会』との連携が欠かせない」

──旅館・ホテルの現状については。
 「消費増税、耐震問題、人材不足など課題が山積しており、厳しい状況に置かれている。国内旅行部に来て、オーナーの方と話す機会も増えたが、旅館を継続するためにはうまく世代交代していくかどうかが大きなかぎを握っていると感じている。宿泊業界団体を見ると若手のオーナーに代わりつつあり、経営学をしっかり勉強されているなと感じる。われわれもこれからはオーナーたちと同じ目線で話ができるように、現状把握・研究を進め、コンサルティング能力も兼ね備えていかなければならないと思っている」

──旅連の方々へのメッセージを。
 「旅連と会社は車の両輪に例えられてきたが、両輪が同じ大きさでないとまっすぐに進めない。目標を合わせて一緒に活動していくことが必要だ。宿泊券販売の拡大、地域誘客という目標を双方一緒になって取り組んで、力を合わせていく。お互いがよりよい大きな輪にしていくことで、推進力も上がる。旅行会社はメーカーではない。売るものがなくては仕事ができない。社員一同、売らせていただいているという気持ちを持って今後とも接していきたい」

【さいとう・あつし】
中央大法卒。81年4月近畿日本ツーリスト入社。千代田法人旅行支店支店長、中央法人旅行支店支店長、ラグゼ銀座支店支店長、ECC事業本部カンパニー営業統括部長、近畿日本ツーリスト神奈川社長を経て13年10月に執行役員国内旅行部長に就任。55歳。

【聞き手・内井高弘】


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