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観光業界人インタビュー 第2808号≪2015年8月1日(土)発行≫掲載
 
連載・観光で地方創生を⑤

NPO法人地域活性化支援センター理事長
志垣 恭平氏

──「恋人の聖地」を全国で展開されている。

 「デザイナーの桂由美さんらと少子化対策と地域活性化を目指してスタートした。2005年に『恋人の聖地プロジェクト』を立ち上げ、06年に『恋人の聖地』の選定と同時に啓発事業『プロポーズの言葉コンテスト』を始めた。現在は『聖地』133カ所、企業・団体が取り組む『恋人の聖地サテライト』は77カ所(うち海外3カ所)。最初はNPOが日本の抱える大問題を二つも掲げてと怪しまれた(笑い)」

──少子化対策と地域活性化をどう結びつけたか。

 「桂さんとの話の中で、少子化問題の一番の課題は非婚化・未婚化だと。だが民間が独自で事業を遂行するのは困難なので、観光事業と連携して若い人々が訪れる『プロポーズにふさわしいロマンチックな場所』を観光スポットとして各地に作ることができれば幅広い事業展開が可能になると思った。そういう視点で見ると、全国には過去に整備された素晴らしい観光地や観光施設がたくさんあった。それを若い人たちの旅の思い出となるよう、分かりやすい『恋人の聖地』というネーミングと新しい切り口で情報発信することで、施設整備に頼らない観光地のリノベーションができるのではないかと思った。さらに名前を全国各地で共有し、周遊観光のストーリーができれば、観光事業を通して地域活性にも貢献できると考えた」

 「動き出してみると、世の中に少子化対策目的の事業はほとんどなく、観光事業と連携した地域活性化の取り組みは異色のプロジェクトとして、メディアに取りあげられる機会が増えていった。すると地元の人々の意識も変わり、若い人たちも地域の取り組みに参加できる環境が生まれた」

──4月には観光交流大賞を創設した。

 「聖地を活用して地域活性化に取り組んでいる各地の成功事例を共有するために始めた。さまざまな取り組みを見える形にするため、賞への応募の形式をとり、応募情報を自分たちの活動に活用できるよう工夫している」

──10月には「恋人の聖地観光協会」を立ち上げる。

 「協議会として活動を行う。中には聖地を十分活用できていないところもあるので、観光協会は各地の交流と情報交換の場にしたいと考えている。もう一つは、幅広い企業と連携してサポート組織作りを目指している。『恋人の聖地』を活用した事業推進プランを参画企業と作り、全国で活用いただくことを考えている。例えばJTBとの連携では各地の着地型観光の種となる情報を収集し、具体的な旅行プランとして造成、送客の仕組みを考える。また、結婚関連企業との連携では、各地の自然環境を活用した『恋人の聖地リゾートウェディング』など、少子化対策のテーマ『結婚』の観光資源化もあるだろう。観光協会は『恋人の聖地』活用のプラットフォームとして機能することになる。設立は聖地に参画している国内210カ所をベースに考えている」

──地方創生に観光が果たす役割をどう考えるか。

 「地域活性化、地方創生の要は観光だ。交流人口の拡大が各地の元気の源になると考える。我々は一つの観光資源に別の側面から光を当てることにより新たなと価値と需要を生み出し、交流人口の拡大に貢献したいと考えている」


【しがき・きょうへい】
中央大学法学部卒。静岡県庁を経て、静岡県でコンサルティング会社を経営。2006年NPO法人地域活性化支援センター設立。東京都出身、57歳。

【聞き手・遠藤真澄】


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