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観光業界人インタビュー 第2810号≪2015年8月22日(土)発行≫掲載
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連載・観光で地方創生を⑥
大分県竹田市長
首藤 勝次氏
──地方創生をどう捉えていますか。
「就任してすぐにTOP運動を提唱した。竹田、オンリーワン、プロジェクトの頭文字だ。竹田でしかできない、竹田らしい政策で全国トップクラスの魅力を持つ自治体に成長しようというのが基本テーマで、地方創生を先取りした政策だと思う。地方自治体が自立しない限り、国の再生はない。自立するには政策力、人間力、地域力などが必要だ」
「例えば、竹田の地域力というと温泉になる。長湯温泉については、7月に日本健康開発財団と慶応大との産学連携による『飲泉エビデンス調査』を実施、その結果、高濃度炭酸泉による循環器・消化器系疾患に効果があることが分かった。国内屈指の高濃度炭酸泉を生かし、湯治を目的に長期滞在された人に給付金を支給する独自の温泉療養保険制度も設けた。導入後、平均滞在は5.7泊まで増えた」
──その他、いろいろな仕掛けを施していますね。
「農村回帰運動を進めているが、若者の就業機会も増えている。これまで122世帯の移住、定住が実現した。7月には全国で2番目、淡水湖では初となるケーブルウェイクボード施設(全長約500メートル)の運用を開始。11月には日本選手権が開催される予定だ」
「6月にはくじゅう連山の大船山(1786メートル)の麓と中腹を結ぶ観光登山バスの運行も始めた。山頂に向かうルートの中腹には3代目岡藩主、中川久清が葬られた入山公墓もある。くじゅう連山の絶景を生かした世界に誇れる登山ルートにする。ドイツのバードクロツィンゲン市との人的交流をはじめ、経済・文化交流も盛んで、ドイツワインの輸入や中学生の相互訪問なども実施している」
──地方創生にはソフト面での政策が欠かせないように思えます。
「ハード面はともかく、ソフト面で確固たる政策、独自性を持っている自治体はそう多くない。当市は常日頃から政策を練り上げており、オリジナリティーがあると自負している。地方創生の種蒔きは十分にできている」
──高齢化の波は来ていますか。
「当市は後期高齢者の割合が多く、75歳以上の人口比は夕張市に次いで2番目に高い。だから温泉なのだ。地域資源である温泉を生かした健康づくりや予防医学の仕組みを整えることで高齢化社会に対応するとともに、市民の健康づくりに取り組んでいる」
──先般、北海道豊富町や秋田県仙北市と「温泉力地域協力協定」を締結しました。これも地方創生の一つですね。
「温泉の持つ力に目を向け、温泉地が手を結ぶことで新たなビジネスチャンスが生まれる。3者協定はその先駆けであり、自治体を目覚めさせる効果もあるのではないか。全国には特色ある温泉が無数にある。それをどう生かすか、考えるきっかけになればいい」
──地方創生には外客受け入れも重要なポイントになってきます。
「温泉力はその意味でも生きてくる。温泉保養地、健康とリゾートなどをキーワードとしてアピールしていけば受け入れられる可能性は十分にある。5月には環境省から竹田温泉群(市全域)として国民保養温泉地に再指定された。地方創生の武器の一つとして活用していきたい」
【しゅとう・かつじ】
同志社大中退。直入町役場、大分県議を経て、2009年4月から竹田市長。大丸旅館顧問、観光カリスマ。大分県出身、61歳。
【聞き手・内井高弘】
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