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観光業界人インタビュー 第2813号≪2015年9月12日(土)発行≫掲載
 
おもてなし3カ条実践
連携強めて商品造成を

農協観光協定旅館ホテル連盟会長
伊藤 善男氏


 7月1日の農協観光協定旅館ホテル連盟の総会で、伊藤善男副会長(岐阜市の十八楼社長)が会長に就任した。新会長に就任の抱負などを聞いた。

──会長就任の話があったのはいつ頃ですか。

 「6月中旬だったと思う。全く考えていなかったので驚いた(笑い)。前会長(藤本武夫氏)の推挙もあり、引き受けることにした。責任の重さを痛感している。農協観光の『ふれあいツーリズム』各種商品に対し積極的に支援・協力を行い、会員が農旅連の宿として、『おもてなし3カ条』の実践を図り、宿泊券の増売につながるよう頑張っていく」

──ふれあいツーリズムとは。

 「JA(農協)を拠点に、人と人、JAと地域、JAグループ間、都市と農村の集い、ふれあい、行き交うをコーディネートする取り組みだ」

──旅連という組織をどう捉えていますか。

 「エージェントの応援部隊だ。宿泊券をより多く売っていただき、我々はそのために施設の提供や日々の業務を通じて得た消費者の動向などを上げ、商品造成に役立ててもらうのが基本だと思う。まさしくウィン・ウィンの関係だ」

──農協観光は他のエージェントと異なり、JAがバックボーンです。独特な組織ですね。

 「JAを中心に、地域に密着した商品造成が特徴で、農協観光しかできないものがある。また、団体送客に実績があり、平日に団体が入ってくれるのは旅館にとっても魅力的だ。宴会もやってくれ、土産もしっかりと買ってくれるのでありがたい。個人的には、地域のJA、農協観光の支店、そして受け入れ側である我々施設が連携した商品造りがもっと必要だと思う。いままで以上に意思疎通を図りたい」

──今年度事業については。

 「総会で審議、承認された事業計画を推し進めていくだけ。できること、できないこともあるが、精査しながらやっていく。今総会では基金規定の変更に踏み切った。使途について『大規模な災害が発生し、被災された地区・会員施設を支援する場合』を新たに追加した。このところ自然災害がよく起こっており、大きな被害が出るケースも少なくない。血の通った対応をということで変更した。会員の役に立てればいい」

 「5〜6年前から、地産地消・持参地消を目玉にした『まるごと食の企画』を実施している。これはJAグループが誇る安心・安全の食のPR企画で、地元でとれる農畜産物を旅館の料理長らが料理し、ツアー客に召し上がってもらう。同時に郷土芸能などのエンターテイメントも楽しんでもらう。今年は全国で26カ所程度の開催を予定している。これまで7千〜8千人の参加実績がある。地域活性化にもつながる」

──農旅連会員はピーク時で約2800軒ありましたが、現在は約1500軒です。会員数減は避けたいところですね。

 「農旅連に限らず、いま会員が増えている団体・組織はほとんどないといっていい。この先も増加は見込めないだろう。どう現状を維持するかを考えていきたい。若い経営者はドライで、送客実績がないとなかなか加盟しない。しかし、宿泊施設とエージェントとの関係は送客だけではない。お付き合いする中でいろいろな情報が得られ、それを自館の営業につなげられる部分がある。エージェントをうまく利用するという視点も必要ではないか」

──訪日外国人観光客が増加しており、2千万人も夢ではありません。旅連の立場はいかがですか。

 「施設によって温度差はあるが、個人的には積極的に受け入れていくべきだと考えている。農協観光さんも外客対応をもっと進めてもらいたい。日本の農業は先進的であり、日本に学びたいというニーズは大きい。農業後進国に対し、技術指導や研修などの名目で訪日をアピールすれば需要はあると思う。それらを会員施設に送り込んでくれれば、施設ばかりか、地域経済にとってもメリットがあると思う。農協観光しかできない取り組みだ」

──ドライブインや運輸機関などが会員となっている「みのり会」がありますが、こことの関係は。

 「理事会などを一緒に開くなど、関係は深まっている。そうしないといい成績は残せない。共同で誘客活動やキャラバンなどを行い、今後とも一体となって進めていきたい」


【いとう・よしお】

【聞き手・内井高弘】


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