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観光業界人インタビュー 第2816号≪2015年10月10日(土)発行≫掲載
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連載・観光で地方創生を⑨
山形県東根市長
土田 正剛氏
──地域の観光資源は。
「観光資源は温泉とフルーツ、そして山形空港の所在地であること。以前は東根を『ひがしね』と読んでもらえなかった。新幹線の山形—新庄間の延伸開業(1999年12月)を前に全国で初めてフルーツの冠の付いた『さくらんぼ東根駅』という名前にし、サクランボにこだわった街づくりをスタートさせた。賛否両論はあったが…」
「当時としては先駆的な取り組みだったことは確か。今では18万から20万人近くのサクランボ目的の観光客が訪れ、経済的にも大きなウエートを占める分野になってきている。今年5月下旬の『日・台観光サミットin山形』の開催に際し、台湾観光客が大勢サクランボ狩りに訪れた」
──具体的にはどのような施策を。
「新幹線の開業で産地間の競争が激化したが、一方では市の発展の原動力となった。いずれ健康ブームが来ることを想定し『全国さくらんぼマラソン大会』を企画したところ大好評だった。毎回全国から約1万2千人を超す参加者があり、今年6月で14回目を迎えた。関係者が観光の持つポテンシャルを認識し、意識に変化が出てきている」
──隣接する他の市町村との連携は。
「隣接する市町村には、そば街道や大正ロマンが漂う銀山温泉など素晴らしい資源がある。東根の観光果樹園との連携を基本に東根温泉に1泊、天童温泉や銀山温泉にも1泊する商品を造成することが必要だ。民間が地域連携しているのに自冶体の連携は思うように進まないが、観光資源を掘り起こし、組み合わせた滞在型観光で交流人口の拡大を図っていきたい」
──地方の観光地の魅力とはなんでしょう。
「風土・風景・風味。ひと口で言ったら観光客が我々に求めるものは人情であり風情だ。何気ない関わりの中で発せられるその一瞬の方言、温かさ、郷愁がおもてなし力となって現れてくる。観光立国(市)を目指しているが、立市の要件があるとすれば、既にクリアしていると思っている。市民と一体となり観光資源のブラッシュアップに努めていきたい」
──県内で唯一、市の人口が増えています。
「健康づくりと子育て支援に力を入れている。以前、日経新聞の『にっけい子育て支援大賞』を受賞した。その経験を生かし、子育てをするなら東根と言われる街づくりを目指している。来年4月には県内初となる中学校と高校の一貫校がオープンする。生徒と教職員の約千人の交流人口が生まれ、新たな産業が芽吹き発展することを期待している。心身ともに健全に育つ『遊育』の環境が究極の教育環境だと思っている。常に創意工夫を心掛け、街づくりを考えることが重要だ」
──観光の役割と今後の展望については。
「観光は地元への経済波及効果が大きい産業。若者を中心に地元に呼び戻すため『ふる里創生』の施策を強化し、6次産業化を推進し働く場所を確保したい。街、人、仕事と笑顔が地方創生の根幹である。一貫校を巡る教育旅行の商品造成にも取り組みたい。『さくらんぼと温泉』、そして全国屈指の雪質を誇るスノーパーク『ジャングル・ジャングル』を核に訪日外国人旅行者の誘客を図ることが急務。21世紀の基幹産業を担う『観光の稼ぐ力』に期待している」
【つちだ・せいごう】
慶大法卒。議員秘書を経て、1979年4月山形県会議員当選。98年9月東根市長当選、現在5期目。全国市長会相談役兼任。71歳。
【聞き手・平塚眞喜雄】
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