──待望の新幹線が開業となりますが。 「永年の夢がいよいよ実現するのかと感無量の思いです。これまで誘致活動や早期開業などに向けてさまざまな場面で尽力してこられた諸先輩の方々に心から感謝したいと思います」 「どうしても開業がゴールと考えがちだが、そうではなく、3月26日からがスタートだとの思いで、観光振興や町づくりに新幹線効果を十分に発揮させる取り組みをしていきたい」 ──開業による効果への期待は。 「全国からの観光客が大幅に増えることになります。また、これまでは東京に行くのに飛行機がほぼ100%でした。JRでは時間がかかり過ぎることや、乗り継ぎの不便などいろいろなことがあって、飛行機になっていました。これからは大きく変わると思う。特に関東以北からは非常に便利になり、これまでやってきたプロモーションの成果が出てくると思います。いろいろな人たちの交流が活発になり、地域の活性化につながっていくことを期待しています」 ──ご当地としてはどのような取り組みを。 「新幹線駅にふさわしいものにしていかなければと、駅前の13・5ヘクタールを商業地に造成し、企業誘致を進めています。ホテルやタクシー、レンタカー会社などが立地して準備中ですが、用地がまだ半分以上残っていますので、引き続き努力していきたい」 「当市は、新幹線の到着地であると同時に道内各地への中継地という位置付けになりますが、隠れた観光資源がたくさんあるので、それを生かすことにも力を入れていきたい。例えば、きじひき高原という絶景の場所があります。そこに展望施設を設置し、麓の道路もメロディロードとして整備しました。法亀寺というところの道南一のしだれ桜や松前藩陣屋跡の桜並木、静ひつなトラピスト修道院の景観などもPRしていきたいですね」 ──市民や民間の取り組みは。 「市公式キャラクター『ずーしほっきー』でPRしている北寄貝、これを市内の料理店で広く使っていこうという動きや、『北斗の拳』に関係するモニュメントを設置するプラン、当地出身の歌手、三橋美智也さんの記念碑の建立などが進んでいる。また、漁協が直営する『フイッシャリー』というイートイン型の直売施設もオープンしました」 ──新幹線の到着地としての準備状況はどうですか。到着地であると同時に各地への中継や連携拠点としての役割が大きいと思いますが。 「駅舎の付帯施設として、JRと市で観光交流センターを作りました。そこに全道各地や道南の観光案内を行う観光案内所、各地の特産品や土産品を扱うアンテナショップ、軽食を提供するカフェなどを設置し、交流拠点としての役割を果たすべく、オープンに向けて準備を急いでいます。函館市と結ぶ『はこだてライナー』や各地を結ぶバス路線の整備も進んでいます」 ──全国の皆さんへのメッセージは。 「新幹線で世界一の海底トンネルを通って北海道においでください。北海道には179の市町村があり、海、山、川など、それぞれ自然豊かで魅力的なところばかりです。ぜひ各地を回って、雄大な自然や新鮮な食べ物、温泉などを楽しんでいただきたいですね。北斗市もお待ちしています」 【たかや・としみね】 1952年2月、上磯町(現・北斗市)生まれ。旧上磯町で総務部長、助役、合併後の北斗市で副市長を務め、2010年3月に市長に初当選。現在2期目。 【北斗市】 北海道南部の上磯町と大野町が2006年2月に合併して誕生した道内35番目の市。気候も温暖で農業、漁業、商工業を中心としたまちづくりを進めており、隣接する函館市からベッドタウンとして人口の流入も多い。新幹線の到着駅「新函館北斗駅」があり、人口は4万7603人(16年1月現在)