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観光業界人インタビュー 第2834号≪2016年2月27日(土)発行≫掲載
 
道南観光に新たな息吹3首長インタビュー③
他県との連携が大事
魅力的な“まち”作る

函館市長
工藤 寿樹氏


──北海道新幹線の開業まで1カ月ほどになりましたが。

 「いよいよ3月26日、開業ということです。若い頃から新幹線の実現、早期開業に携わってきたので、本当に感慨深い。就任以来、東京だけでなく北関東や東北でのPR活動にも力を入れ、昨年夏頃から新幹線の知名度が高まってきたと感じています。開業に向けて函館がメディアで多く取り上げられ、全国に露出度が高まり、注目されているので、それらを観光やまちづくりにしっかり生かしていきたい」

──全国からの観光客が増加するが、そうした変化や効果への期待は。

 「全国各地とも交流人口を増やして地域の活性化をという課題を持っているが、新幹線の開業により交流人口を増やすことができる。観光はすそ野が広く、波及効果は非常に大きい。東日本大震災の後は、函館も観光客がパタッと来なくなり、ホテル・旅館も休業や従業員を休ませ、朝市なども売り上げが全部下がった。1次産業、2次産業にも大きな影響を及ぼすわけで、観光振興をしっかり進めていかなければならない」

 「そのためにも、道内各地や青森、北関東との連携が大事だと考えています。青森とは、青函トンネルの開業からツインシティとして付き合いが深いが、あとは東京で、途中の仙台、福島、宇都宮などとの付き合いはあまりなかった。新幹線は東京との点と点を線で結んでくれるわけで、観光客の流れも大きく変わると思います」

 「海外から函館空港に入る観光客も、新幹線を使うことで東北や北関東、場合によっては東京までつなげることや、逆に新幹線で東北各地を回り函館に入るという新しい流れを作ることもできます」

──受け入れ態勢の整備や周辺地域などとの連携はどうでしょうか。

 「新函館北斗駅からは、既存の列車のほかに新しく導入された『はこだてライナー』が運行し、最速15分で結ぶ。湯の川温泉や市内各所を結ぶ路線バスも運行し、定額制のタクシーの導入も進めています。もともと函館には多くの観光客を受け入れてきた実績があり、宿泊のキャパシティは大丈夫です。ただ港町で言葉遣いなどに荒い面があるので、ここ2、3年、接遇の改善に力を入れてきた。ホテルや観光施設の増改築なども、開業が近づくにつれ、新設を含め動き出してきています」

 「私はまちづくりこそが観光であり、いかにして何回も来てもらえる魅力的なまちを作るかが基本だと考えています。欧米に行くと、そこにいるだけでいい、歩いているだけで楽しい、というまちがたくさんある。函館の魅力を磨き、そうしたまちにしていきたいと思う。人気の西部地区のまち並みも、20年以上かけて石畳の坂道などいろいろ整備してきた。このような地区を増やし、公園の中にまちがあるようなまちづくりを目指したい」

 「周辺市町とは観光の協議会を作って、大宮や仙台で『函館・みなみ北海道グルメパーク』というプロモーションをやるなど一緒に取り組んできた。全国から函館に来てもらうことで各市町にも足を延ばしてもらい、各市町もどうやって足を延ばしてもらうかを考えており、協力し合っていきたい」

 「青森県側とは、3年前から青森、弘前、八戸の4市で青函圏観光都市会議を立ち上げてやってきている。4月には青函圏の観光をPRする青函圏周遊博、7〜9月には青函圏と一緒にJR6社と組んで『ひと旅ふた旅、めぐる旅』というデスティネーションキャンペーン(DC)を展開します」

──全国の皆さんに伝えたいことは。

 「まだ函館に来ていない方も多いと思うが、函館山からの日本三大夜景の眺めや五稜郭、異国情緒あふれる西部地区のまち並みに加え、ミシュランで29の星マークがつくほど魅力的なまちです。今年は通年でイベントもやる。ともかく魅力満載で全国の皆さんをお迎えするので、ぜひ、おいでいただきたい。6月には開業記念のフルマラソンも開催します」

【くどう・としき】
 1949年11月生まれ。乙部町出身。早大法学部卒業後、函館市と合併前の旧亀田市役所に入り、その後函館市財務、企画部長、副市長を務め、11年市長に初当選。現在2期目。

【函館市】
 幕末の開港以来、国内外の玄関口として発展してきた南北海道の拠点都市で、年間約500万人の観光客が訪れる有数の観光地。水産加工業や商業、サービス業などが発達し、北東北との連携にも力を入れている。04年に周辺4町村と合併。人口は26万8617人(15年12月末現)。


【聞き手・北海道支局長町田真英】


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