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観光業界人インタビュー 第2864号≪2016年10月8日(土)発行≫掲載
日台双方向の交流が拡大
台湾の地方へも誘客促進
台湾交通部観光局副局長
劉 喜臨氏
過去最高となる18万5800人の来場者数を記録した「ツーリズムEXPOジャパン2016」。同イベントへの出展と会期前に開いた旅行業界向けセミナー・商談会のため来日した台湾観光代表団の名誉団長、台湾交通部観光局の劉喜臨副局長に話を聞いた。
──今回の台湾観光代表団(誘致団)の規模は。
「地方自治体、台湾観光協会、現地旅行社、ホテル、観光施設など台湾各地から122団体、241人が参加している。これは過去最大の規模だ。台湾が日本市場をいかに重要視しているかがご理解いただけると思う」
──日台関係は良好だ。相互理解のさらなる促進のためにも、バランスのとれた双方向交流が望ましい。
「2015年の訪台日本人旅行客数は163万人で、訪日台湾人旅行客は380万人。日台相互交流人数は543万人となり、5年前より302万人増えている。2016年の目標は600万人だ」
──若干バランスが悪いのではないか。
「計算上では昨年、日本人の総人口1億2516万人のうち約8人に1人が出国しており、約77人に1人が台湾を訪れている。一方、台湾人の総人口2349万人のうち約2人に1人が出国しており、約6人に1人が日本を訪れていることになる」
──今年の日台相互交流人数の状況は。
「1〜8月累計の統計人数が出ている。日本から台湾は前年比20%増で台湾から日本は同17%増。相互交流人数は同18%増の419万人と好調だ」
──日本人にとって台湾観光の魅力とは。
「第1に安全・安心であること。第2に人々が親日的でフレンドリー、親切なこと。日本語を話す人も多い。第3に日本人好みの美食、グルメがそろっていること。小龍包などの中華料理の加えてマンゴーなどのトロピカルフルーツもおすすめだ。日本と台湾は距離的に近いだけでなく、人々の心と心も近い。台湾には日本統治時代の建築物などが数多くの残っており、ノスタルジーを感じてもらうこともできる。各地にさまざまな温泉施設、温泉宿泊施設もあり、総じて日本人の嗜好にあうデスティネーションだと思う」
──台湾を訪れる日本人は、かつて年配者が中心だったが、最近は若い女性が増えているような印象がある。
「現況では、日本人客は男性56.8%、女性43.2%。世代別にみると60歳以上が21.7%、40〜49歳が20%、30〜39歳が18%、50〜59歳が17.9%、20〜29歳が16.2%、20歳以下が6.2%で、各世代ともほぼ均等だ」
「20年前は70%がビジネス客だったが、今は70%が観光客。また10年前の女性比率は24%だったが、今は半分近くにまで増えた。OLなど若い女性をターゲットにしたプロモーションを継続的に行ってきた成果と感じる」
──日台間では、自治体間交流のほかに鉄道間交流も盛んだ。ツーリズムEXPOジャパンの「第2回ジャパン・ツーリズム・アワード」で、台湾観光局は「鉄道をキーワードとした日本と台湾の双方向交流拡大に向けた取り組み」が評価され、プロモーション部門賞を受賞した。
「1986年に大井川鉄道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道提携を結んだのを皮切りに、黒部渓谷鉄道、江ノ電、いすみ鉄道、山陽電鉄、京浜急行、西武鉄道、長良川鉄道、東武鉄道などが台湾の鉄道と姉妹提携・観光連携協定を結んでいる」
──台湾への外国人観光客誘致で政策的に行っていることは。
「地方への観光誘客促進だ。地方活性化に加えて、一極集中による受け入れ先の負担を軽減することで、持続可能な観光(サスティナビリティ)を推進する目的がある。台北市のある北部に集中しがちな訪台客を、花蓮県・台東県の東部、台中市・彰化県の中部、台南市・高雄市・膨湖島の南部に分散化するため、多様性に富んだ旅行商品の開発に注力している。全体の80%が台北に集中していた状況から、30〜40%が他地域を訪れる状態に変わりつつある」
──台湾への観光客誘致奨励プログラムの具体的内容について教えてほしい。
「『インセンティブ旅行誘致奨励』では、50人以上の報奨旅行団体に対して、歓迎文化アトラクションや記念品を無料提供する。『地方チャーター便誘致助成』では、非定期便名発着地による台湾チャーター便主催社に対して、誘致助成および広告サポートを行う。『客船クルーズ誘致助成』では、外国籍客船クルーズ運航による台湾への寄港に対して助成をする。『現地視察旅行協力』では、新商品開発、新素材体験企画等を重点的に助成する。詳細は、台湾観光協会の東京事務所、大阪事務所、中部連絡所に問い合わせてほしい」
【りゅう・きりん】
【聞き手・江口英一】
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