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観光業界人インタビュー 第2918号≪2017年12月2日(土)発行≫掲載
違法民泊は閉鎖される
宿泊税千円対象1%弱
京都市長
門川大作氏
──京都市の観光入り込み状況は。
「2014年に『京都観光振興計画2020』を策定し、20年に観光消費額年間1兆円、外国人宿泊客数年間300万人を目標に、公衆無線LANの整備(バス停、地下鉄駅などで約2100カ所設置)といった191の事業を展開しているが、1兆円については16年、300万人は15年に前倒しで達成した。16年の観光消費額は1兆862億円で、1人あたりの消費額が増加するとともに、宿泊、買い物、飲食費が増加しているのが特徴だ」
「外国人宿泊客数は16年で318万人。欧米と豪州で3割強を占めている。来訪動機のうち、伝統文化に関する回答が年々上昇しており、16年は53.4%となっている。一方、15年から16年の外国人宿泊客数の伸び率は0.6%増で、前年の伸び率(72.7%増)から鈍化している。要因として、市が正確に捕捉できていない違法な民泊施設における外国人宿泊客が急増し、その数約110万人と推計している」
──日本人の動向はいかがですか。
「16年の宿泊客数は前年比3.9%増の1415万人と過去最高だった。日帰りから宿泊へと、できるだけ長く京都で過ごしていただけるよう進めてきた成果が現れている。国内客は観光客の9割近くを占め、リピーターを中心とした京都観光にとって大切なお客さまだ。京都観光の満足度をさらに向上させ、国内客の維持に努めていく」
──住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が来年6月に施行されます。市は民泊に対し、厳しい姿勢をとっています。今はどんな状況でしょうか。
「違法民泊が横行し、市民の良好な生活環境を脅かしていることが問題となったことから、昨年7月に全国に先駆けて『民泊通報・相談窓口』を開設した。これまで2800件を超える苦情、相談に対応し、343件の違法民泊を閉鎖させた。20人による民泊対策の専任体制を敷き、全力を挙げて現地調査や指導を行っているが、住民の悲痛な叫びが多く寄せられており、法令による規制が必要だ」
──具体的に、どんな被害が出ていますか。
「深夜に及ぶ騒音、ごみ出しなどのマナー違反、集合住宅でのオートロック機能が意味をなさないセキュリティーの悪化などだ。路地や住宅街などのまちの安全確保に対する不安もある。違法民泊をインターネットなどにより仲介する業者が続出し、違法民泊の仲介停止を文書で申し入れるものの明確な回答が得られず、解決困難な状況にある。日本が大事にしてきた観光は、地域住民と観光客の安心・安全、心からのおもてなしであり、それがないがしろにされた状況。言語道断だ」
──市として今後はどういった対応を。
「安心・安全の確保やおもてなしなどといった京都の観光の理念と住宅宿泊事業法をどのように調和させていくのかということを検討するため、観光、法律、住環境、経済、学生などさまざまな分野の方を委員とする『京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議』を立ち上げた。11月4日にその方向性が示された」
「住居専用地域については、家主不在型は観光の閑散期にあたる1~2月の約60日に営業を限定することや、民泊の営業者に対して施設での常駐を原則求めるほか、住宅宿泊事業法における民泊施設は可能な限り旅館業法の施設に準じる―などがポイントとなっている。さらに検討を加え、市民のパブリックコメント募集を経て、来年の市議会に民泊関連条例案を提案する」
──宿泊税についても積極的です。
「観光は京都の経済に大きな影響を与えているが、税収面ではあまり寄与していない。観光客増に伴い、市民生活にさまざまな影響が生じている。受け入れ環境の整備も含め、早急に解消しなければならない課題がある。宿泊税による財源は、文化財保護や歴史的景観の保全、快適な歩行空間の創出、観光客の安心・安全の確保、案内標識の整備、観光地トイレの拡充、さらには観光や文化の担い手の育成など、その効果が実感できる施策に充て、観光客にも市民にも喜んでもらいたい」
「近年、問題となっている道路の渋滞や公共交通機関の混雑対策、違法民泊の適正化、京町家の保存、継承などについても活用したい」
──東京、大阪に比べ、税額が高いですね。
「千円という税額が注目されているが、対象となるのは課税対象となる宿泊客のわずか0.6%にすぎない。200円が95%とほとんどを占めている。多くの宿泊施設、観光客、市民のご理解が得られていると思う」
──民泊も対象としていますが、規模もさまざまです。スムーズに徴収できますか。
「全力を挙げてやる。ネット上の民泊は5500件ぐらいあり、うち簡易宿所の手続きを踏んでいるのは約2千件だ。3500件ほどが違法民泊だが、あらゆる手段を講じて把握し、徴収していく。同時に、違法民泊は閉鎖させるのが基本で強い姿勢で臨む。先般、エアビーアンドビーの関係者と会ったが、『違法民泊を(サイト上に)1件でも載せることは断じて許さない』といった」
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