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観光業界人インタビュー 第2924号≪2018年1月20日(土)発行≫掲載

アシアナスタッフサービス常勤顧問
玄 東實氏



──アシアナ航空は全国の空港に国際便を設けているが。

 「アシアナ航空は、1988年のソウルオリンピック後、韓国で海外旅行の自由化を控え大韓航空に続く第2航空会社として設立した。90年に成田に初めて日本便を就航し、今ではグループのエアプサンやエアソウルを合わせると北海道から沖縄まで日本全国各地で運航している」

──日本への訪日外国人観光客が急激に伸びているが。
 
 「外国人観光客は伸びているが、主要な国際空港ではスロット(発着枠)が限界を迎えようとしている。特に羽田空港(羽田)、成田国際空港(成田)は限界に近づいている。需要は急激に増加傾向だが、スロットが追いついていない。近畿は関西国際空港(関空)、九州では福岡空港(福岡)が受け入れのメイン空港だが、同じように限界を迎えている。外国人観光客数に対応するスロットが4千万人までは何とかいけるかもしれないが、6千万人までの2千万人を増やすにはスロットが絶対的に足りない。今の空港の容量を大幅に増やさなければ、このままでは受け入れることは難しくなる」

──航空業界のトレンドは。

 「航空業界のトレンドは、大量輸送ではない。小型機少量輸送、ハブ空港という考え方から今はポイント・ツー・ポイントへの輸送が主流だ。より一層、直行便のスロットが必要になるだろう。今は、格安航空会社(LCC)という選択肢も増えた。価格志向のエアラインだ。アシアナグループでもエアソウルやエアプサンが全国各地に飛んでいる。あと10年後という期間で見ると、スロットに余裕がなくて硬直化するのではなく、柔軟性を持たなければならない。仁川国際空港(仁川)経由のお客さまもいるだろうが、羽田、成田、地方のスロットを増やしていかなければならない」

──外国人観光客は地方の活性化にもつながるか。
 「外国人観光客増加による国内の活性化が、地方創生に結びつくのではないだろうか。各空港別の出国実績を見ると面白い数値が出ている。簡単に大きなトレンドとして、外国からの客が増えている。17年は2869万人と過去最高となった。韓国からは、16年は509万人が来ていた。過去は、日韓の60%を日本人がとっていた。しかし、韓国から初めて15年に300万人を超え、17年は714万人となった。今では全体の70%を韓国人が占め逆転した。理由としては、LCC増大、円安、そして中国と韓国の政治的な問題があり、中国に行かなくなった分が日本に来ている。人口減少や日本人観光客が伸びなくなっている中、外国人観光客の受け入れが地方を活性化する鍵となるだろう」

──日本の空港の問題点は。

 「航空会社から見て、一番必要なのはスロットの獲得だ。お客さまの行きたい時間帯に、どれだけ便数を取れるかどうかが必要になる。羽田など大空港では、スロットを確保するためにすごい争奪戦が起こっている。2千万人だった観光客が4千万人、6千万人と日本に来たい人が増える分には問題ないが、実際に呼べるスロットがあるのだろうか。首都圏のスロットは、成田、羽田を合わせると年間75万回で、旅客数は約7千万人。これが17年から見て、20年までにあと8万回増える計算となる。現状の枠から計算をしても83万回までにしか増えない。一方、韓国では1月18日に仁川国際空港第2ターミナルがオープンした。今までは、第1ターミナルの年間処理能力は5400万人だったが、第2ターミナルができて7200万人まで処理できるようになった。仁川は、まだまだ成長途上で、今後も滑走路を増やし、23年には1億人の受け入れを可能にする計画だ。中長期計画を見ても、まだまだ増えていく。先程申し上げたが、日本のメインである羽田、成田は83万スロットで限界。これから増やす場合は、滑走路を増やすしかない。成田や羽田はもう1本作れる。しかし、それでは倍増にはならないし、20%弱しか増えない。周りに空いた土地もなく、埋め立てで付け足ししている過程からも、土地を増やすには海上しかない。今後、現状の2倍やらないと外国人客は相対的に仁川に行くかもしれない。韓国では北東アジアのハブ空港として需要を予測している。今後は羽田、成田の拡張、そして地方空港の活用が必要となってくる」

──地方空港を活性化するには。

 「外国人観光客も地方に目を向いている。地方の魅力に気づき、関心があるので、努力次第で呼ぶことができる。地方で迎えるに当たっても、北海道では新千歳は空港のマンパワーも限界だ。今以上に増えると地上のハンドリングができなくなる。北海道は、就職において若年層が売り手市場となっており、空港での人手が確保できていない。北海道には七つの空港がある。七つが連携して一緒に受け入れを進めるとなると、広がりを見せることができる。日本は今、約100の空港があるが、国際線が就航している空港は32空港ある。これは大きいし、生かさない手はない。東京、大阪、福岡のスロットはもういっぱいだ。仙台空港は民営化され、LCCの誘致に成功するなど、国際線の旅客数が1・7倍に増えた。官民が一体となって空港の整備、観光客の受け入れに取り組んでほしい」

──今後、地方に求めることは。

 「地方空港の整備はもちろん、地方の魅力を磨き上げて誘客してほしい。そうすることで30年に外国人客6千万人の到達もできるだろうし、地方の観光、経済も潤うことにつながるだろう。温泉や歴史、文化の体験など、地方に行く楽しさが日本にはある。都市部と地方で外国人の行き先の相互補完をかなりできるのではないだろうか。外国人にとっては移動自体も観光であり、主要空港だけの点ではなく、地方空港を最大活用した面としての発想が必要だ」


【ヒョン・ドンシル】
慶応大卒、ソウル大大学院修士課程修了。アシアナ航空副社長、日本地域本部長を歴任。現在、アシアナスタッフサービス常勤顧問。

【聞き手・長木利通】


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