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観光業界人インタビュー 第2928号≪2018年2月24日(土)発行≫掲載
日本最大級「白鷺」を就航
毎朝新鮮な魚介をさばく
屋形船晴海屋女将
安田 恵津子氏
──創業は。
「屋形船晴海屋の創業は1896年。1953年まで月島で漁業を行っていた。54年5月23日に東京都江東区南砂に移り、漁業と釣り船を行っていたが、63年に東京内湾埋立計画により漁業は廃止になった。その後、釣り船のみで営業を続けてきたが、東京の海が埋め立てで釣り場がなくなり、やむなく、大型の釣り船を作って、東京から千葉県、神奈川県方面に遠征した私の家が最初に行った。千葉県、神奈川県の同業者とも仲良くしていただいた。ただ今までの木造船では時間がだいぶかかったので、73年に東京で最初に造ったプラスチックの快速船で、木造船で2時間半かかった場所まで1時間で行けるようになり、神奈川の城ヶ島、相模湾、千葉県は洲崎、白浜沖まで遠征して、当時大ブームになった。が、その後の油の高騰および規制もあり先行不安だった。79年頃から、隅田川付近の船宿が屋形船を出すようになり一大ブームを迎えていた。当店も屋形船の運営を考えるようになり89年に1艘造った。屋形船を始めた時は、1カ月に2〜3件の依頼しかなく苦労したが、釣り船を利用したお客さまを口説いたり、企業の福利厚生での利用など、お客さまは徐々に増えていった。今では、数多くの個人や団体のお客さま、旅行会社にも年間通して利用していただいている」
──就航エリアは。
「現在は、6艘の屋形船を保有し、40人のスタッフで運営している。晴海乗船場(朝潮小型船乗り場)、浅草吾妻橋乗船場、越中島乗船場、お台場パレットタウン乗船場など東京都内7カ所から乗り合い船や貸し切り船を出している。週末の金曜、土曜はもちろん、花見のシーズンから11月の秋の行楽シーズン、12月の忘年会シーズンまでフル稼働している。最近では、芸者さん、ものまね芸人さん、落語などの芸を楽しむ貸し切り船は大変好評をいただいている」
──料理のこだわりは。
「晴海屋は『浮かぶ料亭』として料理は特にこだわっている。キスやアナゴなど毎朝築地で仕入れた魚介を板前がさばき、全てよりすぐりの新鮮な素材を使用し一品一品心を込めて作っている。『料亭』の名に恥じない料理を提供していきたい」
──日本最大級の屋形船「白鷺」が就航したが。
「白鷺は昨年7月に就航した。定員は144人。客室にはナラの無垢材を使い全席掘りごたつ仕様、いす席も用意する。内装はこだわっており、平安朝の楽器や鳳凰が舞う姿を描いている。トイレは全て大理石を使用し、温水洗浄便座も完備する。また、スカイデッキで船上に上ることができ、春は隅田川の桜や夜は東京の夜景を一望することができる。屋形船で掘りごたつ仕様とスカイデッキを始めたのは晴海屋が最初で、全船掘りごたつもしくはいす仕様、スカイデッキを完備している」
日本最大級屋形船「白鷺」
──最近増えるインバウンドへの対応は。
「外国人客の対応として、外国語ができる船頭が数人いる。英語、中国語、韓国語には対応している。最近は、オプションとして用意する芸者さん、振袖さん、寿獅子舞、南京玉すだれなど日本文化を楽しめるものへの要望は多くなっている。今後は、これから先にまだまだ増えるであろう外国人客の対応も強化するために、外国語ができる人材強化やサービスの多言語化も進めていく」
──今後の経営での取り組みは。
「まずは人材の強化。従業員の教育と外国人客に対応できる人材の確保を行い、組織を強くする」
毎朝仕入れた魚介を新鮮なうちに提供
【やすだ・えつこ】
神奈川県横浜市出身。城南信用金庫勤務後、屋形船晴海屋女将。
【聞き手・長木利通】
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