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観光業界人インタビュー 第2935号≪2018年4月21日(土)発行≫掲載
4社の強みを最大限生かし
新時代に生き残り、成長を
T-LIFEホールディングス社長
石川 邦大氏
食品関連をはじめ幅広く事業展開するタイヘイグループは、傘下の旅行会社4社(タビックスジャパン、東日観光、トラベルイン、湯旅)を統括する事業持株会社「T—LIFEホールディングス」をこのほど設立、1日に事業を始めた。ホールディングスの社長に就任した石川邦大氏(タビックスジャパンの社長を兼務)にグループの旅行事業の今後を聞いた。
──ホールディングス設立の狙いは。
「業界を取り巻く環境が著しく変化し、お客さまのニーズも変わってきている。次の時代に生き残り、成長するためには、新たなお客さまのニーズに合った商品とサービスを提供していかねばならない。その取り組みを加速するために今回、4社を統括するホールディングスを立ち上げた」
──ホールディングスと傘下の旅行業4社それぞれの役割は。
「ホールディングスに総務、人事など4社の管理機能と仕入れ、手配機能を主に集約し、支店など営業・販売機能は4社にそのまま残した」
「4社に重複していた機能をホールディングスに集約することで、業務の効率化と、仕入れ、人材確保、社員教育、コンプライアンスなど、それぞれの機能強化を図った。業務の効率化は今回新たに開発した新業務支援システムでも加速させる」
「ホールディングスには新たに4社の営業や販売を支援する機能と、シナジーを推進する機能を設けた。例えば、個人旅行の分野では、ネット販売に不可欠な新しい媒体への対応やマーケティングを担当する部署を新設した」
「シナジーを推進する部署では、グループの強みを最大限に生かすための施策を考える」
「4社はそれぞれ業界の中でも、ある特定分野において独自のノウハウと競争力を持っている。タビックスジャパンは地域密着型の添乗員付きツアー、東日観光は千葉県の教育旅行とインバウンド、トラベルインはスキー・スノーボードツアー、湯旅は埼玉県の教育旅行などだ」
「4社の事業をホールディングスが精査し、強い部分をさらに強化するとともに、グループ内の連携強化でシナジー効果を最大限に発揮させたい。例えばトラベルインのスキー商品を東日観光が持つインバウンドのルートを使い、海外へ販売するなどが考えられる。タビックスと東日観光はバリアフリーの分野で多くの団体旅行を扱っているが、そのノウハウを生かすことで、要介護・要支援者の個人旅行への対応を検討している」
「4社は特定のエリアでは知名度が高かったのだが、全国規模では必ずしもそうではなく、お客さまや旅館さんなどからの信用度という面で課題があった。今回、T—LIFEとなり、規模が拡大したことで、その払拭が期待される。信用度の高まりは人材採用面でも期待でき、今回初めてT—LIFEとして採用活動を行ったところ、会社説明会が満員になるなど思った以上の効果が出ている」
──旅館・ホテルや施設との関係は。
「4社の仕入れ機能をホールディングスに集約したことで、旅館・ホテルさんや施設さんから見れば、取引の幅が広がったことになる。例えば今までタビックスとだけ取引をしていた旅館さんは、グループ3社の顧客層とマッチすれば、それぞれのお客さまを新たに受け入れることになるだろう」
──協定連盟は。
「タビックスの協定連盟を母体に、他の3社と取引をしている旅館・ホテルさんや施設さんにも加わっていただき、T—LIFE協定連盟としてこの4月にスタートしたところだ」
「仕入れの一元化を前提に、連盟も新しい形でまとまった方がいいのではと、昨年11月から新しい組織の設立準備委員会を立ち上げていた。本来ならば旧連盟の総会に諮らなければいけないのだが、今年は全国総会がない年で、役員の了解を得た上で全国12地区会の総会に諮り、承認をいただいた。新しい連盟は今後、より多くの会員に参加していただけるよう、入会のハードルを下げるなども考えている」
──グループの当面の販売目標について。
「現在、4社合計の取扱額は年間約470億円で、これは業界の15位程度に相当する。ここ数年は残念ながら減少傾向にあったが、来年度以降、毎年5%ずつ伸ばし、V字回復を目指したい。今年度は販売はもちろんだが、新しい仕組みをしっかり動かすことに力を入れていきたい」
【いしかわ・くにひろ】
1961年生まれ。トップツアー代表取締役社長を経て2015年9月からタイヘイ旅行グループ顧問。今年4月1日から現職。
【聞き手・森田淳】
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