最新宿泊&施設情報 第2526号≪2009年8月8日(土)発行≫掲載 |
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三河湾に張り出した西浦半島の突端、西浦温泉の高台にある旅館「たつき別館葵」が7月14日、旅館「葵」としてリニューアルオープンした。三河発祥の徳川家にまつわる姫たちの世界を再現。彼女らが紡いだ歴史に触れたり、色打ち掛けをまとって自ら「姫」になったりして、宿泊客が姫の夢物語に浸ることができるような演出が特徴だ。 |
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海を望む写経スペース |
大きな葵の紋と足湯が配された正面エントランス。ドアが開くと、大きな太鼓の音に続き豪奢な陣羽織を来た接客担当者が、訪れた人を案内する。館名「葵」の名のもとに展開する同館のコンセプトは「姫たちの夢わたる、徳川の海」。江戸時代前半をイメージした館内装飾が印象的だ。館内各所で見られるのは、徳川家康の母「於大(おだい)の方」や孫娘「千姫」など、徳川家の16人の女性にまつわる逸話やそれぞれの人柄などを紹介するパネル。ロビーや客室などさまざまな場所で姫たちの生き様や思いに触れられる。また徳川家や江戸前期の女性の暮らしや風俗に関する書籍も気軽に手に取れる。
目玉は宿で体験できるイベントの豊富さ。多くの姫君がさまざまな思いを込め行った「写経」をパブリックスペースや客室で体験できるのは葵ならではだ。姫がまとっていた色打ち掛けを着る「装い体験」も特徴的な体験メニュー。ポストカードや記念写真にできる。打ち掛けは今後、50枚ほどから好きなものを選べるようにする予定だ。また姫たちの遊芸「百人一首」「絵合わせ」や家康と縁の深い「風水占い」の体験コーナーもある。 |
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和風のしつらえのエステルームでは、人気のボディケアが受けられる |
こだわりは食事にも垣間見られる。三河湾を一望できる食事処「浮船亭」で供するのは、新鮮な海の幸を目の前で焼き上げる「海鮮磯辺焼き」。アワビや伊勢エビを中心に、こぶし大ほどある三河湾名物「大アサリ」などが目を引くが、最後は「姫のもてなし」にふさわしく、華やかな小箱に入れられたケーキから好きなものを取り分ける演出で、女性客に訴求する。 |
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湯上がり処には徳川家康の妻「築山殿」の紹介パネルを掲示 |
葵のリニューアルを手掛けたのは、「天の丸」や「源氏香」など個性的な館内演出とサービスを行う旅館を展開し多くのリピーターを獲得している、海栄RYOKANS(愛知県南知多町、渡邉幸一CEO)。このうち知多地域の3館を取り仕切ってきた渡邉栄子さんが女将として葵を指揮する。「コンセプトは『姫たちの夢』ですが、当館のもてなしやイベントは女性客だけでなく男性にも楽しんでいただけるものばかり」と渡邉さん。例えば同グループの旅館で初めて、男性にも色浴衣を選んでもらうサービスを取り入れた。「好きな色の浴衣を着たいのは女性だけではないはず。ピンクなど、普段着たことがないという色を選ばれる男性も多いですよ」(渡邉さん)。 |
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選べるスイーツ |
偶然にも同館のオープンの約1カ月前、11年のNHK大河ドラマが、江戸幕府第3代将軍徳川家光の母・お江与を主人公にしたドラマに決まり、葵の注目度は高まっている。
体験イベントや雰囲気だけでなく天然温泉「美白泉」をたたえた露天風呂や、色打ち掛けなどがディスプレーされた和室でのエステなど、女性が喜ぶツボをしっかり押さえた同館。エステでは今後、アボカドなど生のフルーツを使ったヘッドマッサージの導入や、麹菌を使ったパックによる美白メニューの強化も検討しているという。渡邉さんは「若い方から年配の方まで幅広い方に満足していただけるよう、体験イベントやアメニティ、食事などにさらに磨きをかけたい」と意欲を語る。
【三河・西浦温泉 葵 http://www.aoi-himetachinoyume.com/】 |
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