最新宿泊&施設情報 第2842号≪2016年4月23日(土)発行≫掲載 |
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神奈川県箱根町の箱根強羅温泉「円かの杜(まどかのもり)」(20室、全室露天風呂付き)は、2014年12月に開業した、箱根では比較的新しい高級旅館。東京都目黒区の保養所だった物件を取得し、約1年間をかけて全面改装。全く別の姿に生まれ変わった。 |
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大浴場の露天風呂 |
岐阜県高山市で「飛騨亭花扇」(全48室、17室が露天風呂付き)と「花扇別邸いいやま」(全15室、7室が露天風呂付き)を経営する花扇グループが箱根に進出したのは09年。「強羅花扇」(20室、全室露天風呂付き)を開業し、翌10年には「強羅花扇早雲閣」(全24室、4室が露天風呂付き)をオープンした。最上級グレードである円の杜は5軒目の宿となる。
円かの杜の主な特徴は、「木の美学」「2本の自家源泉」「飛騨牛」の三つ。 |
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エントランス |
玄関前の水車に迎えられた宿泊客は、宿の外観、ロビー、客室、食事処など館内のほぼ全てが無垢の木で埋め尽くされていることに驚嘆する。チェックインカウンターは、2、3千年もの間、土に埋まっていたと言われる神代欅(けやき)の1枚板だ。 |
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広々としたロビー |
杉、檜(ひのき)、欅などの高級木材を、柱や梁、天井、壁、テーブル、椅子、クロゼットに至るまで惜しげもなく使い、館内は廊下を含め、総畳敷き。ほのかな木の香りと柔らかな畳の雰囲気が、落ち着いた大人の空間を演出している。
同社の飯山和男社長は、飛騨高山の木材市場で、全国から集まる銘木を何年もかけて直接競り落として保管。満を持して理想の旅館をつくり上げた。工事にあたっては、1300年の歴史を持ち、「飛騨の匠」と呼ばれる木工職人、大工を現地から呼び寄せた。 |
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客室の露天風呂 |
温泉は、泉質の違う自家源泉を敷地内に2本保有。1本は大浴場、大露天風呂、1本は客室露天風呂に源泉かけ流しで使っている。大浴場の源泉は、泉温63.1度、PH8.3(弱アルカリ性)のナトリウム─塩化物・硝酸塩・炭酸水素塩温泉で、客室露天風呂の源泉は、泉温91.1度、PH8.5(アルカリ性)のナトリウム‐塩化物温泉となっている。
内湯と露天風呂を備えた大浴場棟は別棟。客室棟から連絡階段を下った、見晴らしの良い森の中にある。 |
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飛騨牛 |
料理は現地直送の飛騨牛を中心に、相模湾などの港に揚がった新鮮な魚介類、箱根周辺の山に息づく野菜、キノコなどをあしらった京懐石。食事場所は、個室食事処または部屋食で選択可能だ。小規模旅館だが、小宴会場、別棟のエステ、岩盤浴、欅の一枚板のカウンターを配したシガーバー、立場割烹、囲炉裏を囲む個室喫煙所まで完備している。
客室は13タイプ・全20室。全ての客室にはベッド、そしてベランダに露天風呂が備えられている。“本物の木”にこだわり抜いた内装の設えはバラエティに富んでおり、広さも一人旅にも適した約30平方メートルの和洋室(2室)から、“和のスイート”とも呼ぶべき70平方メートルの客室(2室)までさまざまだ。
20室の宿には不釣り合いなくらい広々としたロビースペースでは、ジャズやクラシックのロビーコンサートを年に数回実施。シャンパンやこだわりの日本酒をふるまう。
開業して1年半も経たないが、口コミなどで海外にも評判が広がり、インバウンドの個人客も増えてきている。
箱根に、世界から大人が集う宿がまた一つ増えたようだ。
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【神奈川県・箱根強羅 円かの社 http://www.gorahanaougi.com/madokanomori/】 |
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