'11『こだわりの宿』30軒 |
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甲信越
<山梨県・富士河口湖温泉郷> |
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若草の宿 丸栄 |
「宿は舞台、私たちは役者」 |
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丸栄名物「若主人の紙芝居」 |
従業員の接客の良さが高い評価を受けているのが山梨県・富士河口湖温泉の「若草の宿丸栄」(渡辺昭夫社長)だ。
「宿は舞台、お迎えする私たちは役者」を接遇モットーに、宿泊客のチェックイン(開演)からチェックアウト(カーテンコール)までを1回の舞台公演に例え、その中で、「従業員(役者)はマニュアル(台本)通りの動きに加え、それ以上の接客(機転をきかせたアドリブ)でお客さまを満足させる」ことを目指す。
そのため従業員教育には特段の力を注ぐ。「臨機応変な対応能力は基本の集大成」という信念のもと、接客マニュアルを日夜改善し、徹底的に仕込むが、マニュアル人間にならないよう現場での実践指導も怠らない。
また、短期間で即戦力に仕上げるために、研修では進行シートを用いて学んだことの理解度や習熟度をそのつど把握させ、週1回のペースで入念にチェックしていく。
さらに、新人、若手、中堅、ベテランと、年代や勤続年数に応じて、達成すべき目標を個々の資質に合わせて設定し、定期的に実施される様々な勉強会・講習会と併せ、総体的なレベルアップに努めている。
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見晴らしの露天風呂「湖(うみ)の湯」 |
「人(お客さま)が人(従業員)に癒される宿を目指しており、喜ばれることに喜びを感じるスタッフの成長を見るのが一番嬉しい」(同館)。
若主人(渡辺洋専務)も自ら現場の前線に立つ。夕食後のひと時に行う、昔懐かしい紙芝居や民話の語りだ。地域の観光イベントがない時期を中心に年間約100日上演。今年で16年目を迎えた。
日本演劇界の至宝と称された演出家が「人の世の喜怒哀楽を見事に表現し、観客の心の琴線を自在に奏でる名人芸」と絶賛した舞台は、上演を待ち望む人も多く、丸栄の名物となっている。
若草の宿丸栄/山梨
県南都留郡富士河口湖町小立498/TEL:0555-72-1371 |
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甲信越
<山梨県・石和温泉> |
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華やぎの章 慶山 |
ステーキと旬彩懐石 |
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牛鉄板焼処「千」での食事風景 |
料理に定評のある華やぎの章慶山(千須和昌和社長)。2009年9月にステーキ懐石を提供する「牛鉄板焼処『千』」(カウンター12席)、10年3月に旬彩懐石の「客前割烹『昌』」(同8席)が相次いでオープン、真新しい施設での食事に宿泊客の評判は上々だ。
完全予約制。18〜19時半と20〜21時半の2部制を採っているため、ゆったりと落ち着いた雰囲気で料理を味わえる。
千ではシェフが目の前でもてなす甲州牛・甲州ワインビーフの鉄板焼きフルコースが、昌では板前が見事な腕前で魚を捌き、新鮮な刺身と熱々の天ぷらが楽しめる。
このほか、みのぶゆばをふんだんに使った「湯葉懐石」や野菜を中心に素材の効能を生かした慶山オリジナルの「薬膳料理」などもぜひ味わってほしい。
華やぎの章 慶山/山梨県笛吹市石和町市部822/TEL:055-262-2161 |
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甲信越
<山梨県・富士河口湖温泉> |
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秀峰閣 湖月 |
湖越しの美しさが評判 |
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露天風呂から眺むる富士山 |
富士山は日本人にとって格別の存在だ。山梨県・富士河口湖温泉郷の秀峰閣湖月(小佐野国博社長)では、その富士山を客室、レストラン、ロビー、大浴場など館内どこからでも眺められる。それゆえ、不況や震災で旅行需要が冷え込む昨今だが、数多くの客でにぎわうというから驚きだ。
河口湖の北側のほとりに建つ。ただ見えるだけなら、人を呼ぶ評判にはならない。「湖越しに望める富士山は稜線がはっきりとし麓まで分かる。形はほとんど左右対称。ここまで美しい富士はなかなかない」と宮下武常務。
夏の赤富士、秋は紅葉を添え、冬の雪山、春は桜と共に、と四季折々の趣を楽しめる。視認できる確率は半々。「ご覧いただけたお客さまはその日とてもご機嫌です」(宮下常務)。雨天などの時は富士山の絵葉書を渡す。
秀峰閣 湖月/山梨県南都留郡富士河口湖町河口2312/TEL:0555-76-8888 |
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甲信越
<長野県・扉温泉> |
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明神館 |
無農薬栽培とCO2削減 |
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自家農場での田植え風景 |
信州松本の豊かな自然の中で静かなひとときを提供する宿として名高い、扉温泉の明神館(齊藤茂行社長)。接客や佇まいなどが多くの人の心をつかんでいる同館だが、「エコロジー先進旅館」としても名をはせる。その姿勢は、環境対策に積極的に取り組む宿泊施設などを認証する北欧発の国際エコラベル「グリーンキー」の認証を、国内で初めて受けたほどだ。
例えば「懐石料理」「モダン和食」「オーガニックフレンチ」から選べることで人気の同館の食事も、エコロジーへの取り組みと無縁ではない。ここで使用される野菜の多くは、残飯を微生物が分解してできたバイオ肥料を使い、20年以上前から無農薬栽培に取り組んできた自家農場産や地元産のもの。宿泊客から「おいしい」と評判のコメも自家農場の水田で栽培する。水田にアイガモを放つことで除草剤、殺虫剤を使わずに育てた稲は、秋の収穫の時期には宿泊客向けのアクティビティ「農場体験」の1つとして、一緒に刈り取ってもらう企画もある。収穫の喜びと共に、自然のサイクルの素晴らしさも体感してもらう考えだ。
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レンタカー用の電気自動車 |
また公共交通機関利用者の無料シャトルバスでの送迎や、自宅~宿を送迎する「『ドア・トゥ・ドア』サービス」により、マイカー利用によるCO2などの排出ガスの削減にも努めている。今年3月には、環境負荷ゼロの電気自動車「日産リーフ」を2台導入。同館と松本市内のレストラン「ヒカリヤ」には充電スタンドを設置し、エコロジーな信州ドライブを楽しんでもらえるようにした。
「どんなに小さなことでも、環境に良いと思われることは実行している」という同館。壁面緑化やリサイクル可能な建材の採用など、もてなしの場づくりとエコロジー活動をさりげなく両立させた同館のスタイルは、今後も注目を集めそうだ。
明神館/長野県松本市入山辺8967/TEL:0263-31-2301 |
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甲信越
<新潟県・越後湯沢温泉> |
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ホテル双葉 |
種類豊富な「
28(ふたば)
」の湯 |
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展望大浴場 |
越後湯沢温泉の中でもひときわ高い丘の上に建つ「ホテル双葉」(小林庄一社長)。最大の魅力はなんといっても風呂だ。温泉施設は名付けて「二十八(ふたば)の湯」。「ぱぱらく」「ままらく」「山の湯」「里の湯」の4カ所の大浴場があり、その中で28の湯巡りができることからこの名が付いた。薬草三昧の風呂や深さが110センチの「びっくり立ち湯」など、個性豊かな浴槽がそろう。
客室78室のうち29室が露天風呂付きというぜいたくさも魅力。
やすらぎ棟「花水木」では、女性専用エステ&リラクゼーション「夢ごこち」や、花・水・木をテーマに、フロアごとに3つの「邸宅」を用意した。小グループ、2~3世帯のファミリー、カップルの満足を満たす150平方メートルの空間。食事処「万葉の小径」や個室ダイニング「花暦」など、新しいプライベート空間も展開し、料理長こだわりの料理を提供する。
ホテル双葉/新潟県南魚沼郡湯沢町大字湯沢419/TEL:025-784-3357 |
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甲信越
<新潟県・瀬波温泉> |
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夕映えの宿 汐美荘 |
夕陽と湯浴み楽しむ |
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男性露天風呂朝凪 |
水平線に沈む夕陽の美しさが感動的な新潟県瀬波温泉。同温泉屈指の名旅館、夕映えの宿汐美荘(浅野謙一社長)は、風呂の種類も多く、夕陽を見ながらの湯浴みは、まさに至福のひとときだ。
温泉に対するこだわりは「温泉湯師」の存在が証明している。93度という高温の源泉を気温や風速のバランスを配慮して適度な湯温に調整。プロの匠の技が名湯を支えている。
この春、南館6階の客室をリニューアル。「Theオーシャン倶楽部」として新たにオープンした。源泉掛け流し露天風呂付きのスイートルーム、テラス付きベッドルームなど計7室。高級感あふれる客室から美しい日本海、水平線に沈む夕陽を眺められる。
夕朝食会場も「蒸気源ダイニングはまなす」として装いを新たにした。高温の源泉を使って蒸し上げる「源泉蒸し料理」を提供する。日本海の新鮮な幸、日本一にもなったブランド牛、村上牛など、ここでしか味わえないものを堪能してもらいたい。
夕映えの宿 汐美荘/新潟県村上市瀬波温泉2-9-36/TEL:0254-
53-4288 |
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甲信越
<新潟県・月岡温泉> |
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白玉の湯 泉慶 |
旬の素材を客前で調理 |
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オープンキッチン |
今秋、創業45周年を迎える「白玉の湯 泉慶」(飯田浩三社長)。館内の「越後料亭『旬熹楽(しゅんきらく)』」が好評だ。温泉とともに定評があった料理に、さらに磨きがかかっている。
2人客からグループ客まで対応する、プライベートを重視した純和風料亭。厳選された旬の素材を、客の目の前で調理するオープンキッチンを備えているのが特徴だ。
29室、128席あり、和個室、和半掘りごたつ、和いす膳、和テーブルと、趣が異なる4タイプの部屋を備えた。それぞれの食事場所から、光り輝く美しい庭園を眺める。
料理は食の宝庫新潟だけに、山海の厳選された素材を使っている。特に魚介類は板長自らが近郊の岩船港へ仕入れに出向き、素材を吟味。新鮮な素材だけを利用する。越後の地酒とともに味わいたい。
白玉の湯 泉慶/新潟県新発田市月岡温泉453/TEL:0254・32
・1111 |
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甲信越
<新潟県・月岡温泉> |
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白玉の湯 華鳳 |
名湯をプライベートで |
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大岩露天風呂 |
泉慶の姉妹館「白玉の湯 華鳳」(飯田浩三社長)は、今年秋に創業15周年を迎える。名湯「白玉の湯」を独占できるプライベートスパ(貸し切り露天風呂)を備え、効能豊かな湯を思う存分楽しめる。
「月の舟」「星の舟」の2つのスペースがある。十分な広さを持った露天部分はバリアフリー設計で、体の不自由な人も安心して楽しめる。部屋部分は6畳の休息スペースと洗面台、トイレを設置。6人まで利用でき、1スペース60分4千円。
同館が掘削した源泉「白玉の湯」は、入浴すると肌がすべすべに、白玉のようになることからこの名が付いた。名湯は能舞台檜風呂、大岩露天風呂、寝湯・腰掛湯などのパブリックでも味わえる。
2007年には全室スイートルームの別邸「越の里」がオープン。眺望を楽しめる客室露天風呂、専用食事会場による新たな食事の提供で、ワンランク上のサービスに努める。
白玉の湯 華鳳/新県新発田市月岡温泉134/TEL:0254-32-1515 |
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甲信越
<新潟県・瀬波温泉> |
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ホテル清風苑 |
美人の湯を心ゆくまで |
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殿の湯大岩露天風呂 |
新潟県月岡温泉の「ホテル清風苑」(樋口恵一社長)は、「美人になれる温泉」で知られる月岡の湯を心ゆくまで堪能できる宿だ。温泉は今年で開湯97年。ホテルは開業83年と、温泉地の歴史とともに歩んできた。男女2カ所ずつ、合計4カ所の大浴場と、3つのテレビ付き貸し切り風呂があり、浴槽の数は合わせて15個。多彩な6つの湯船がそろう露天風呂は嵯峨人形風のマスコット「6つ子のお湯かけ小僧」が置かれ、愛敬ある姿で湯浴み客を迎えている。またエステルームもあり、女性に人気で心身ともにリフレッシュできる。
人や環境への配慮にも取り組む宿で、部屋には国産無垢材の自然素材を使用。煙草が苦手な人向けに禁煙ルーム16室を備えている。若く元気な客室係が多く、夕食の部屋出しなど、大型旅館でありながらきめ細やかなサービスを心掛けている。
ロビーでは毎晩9時から、スタッフによる踊りなど、夜のにぎわいを演出している。
ホテル清風苑/新潟県新発田市月岡温泉278-2/TEL:0254-
32-2000 |
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